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青山広報会議

新規上場ベンチャーが語る「投資家に評価されるIPO企業の広報とは?」

テラスカイ/ピクスタ/リンクバル

2015年、国内における新規上場企業の数は92社と、6年連続で増加傾向にある。一方で、上場における審査基準の緩和などにより、上場直後に業績を下方修正する企業が現れるといった問題も。企業として投資家への説明責任が求められている今、2015年に上場を果たしたベンチャー3社の広報・IR担当者が集結した。

総務業務との兼務も

――今回は2015年に上場した、ストックフォトの「ピクスタ」、テクノロジー企業の「テラスカイ」、街コンビジネスを手掛ける「リンクバル」の皆さんにお集まりいただきました。

小林▶ ピクスタは2005年創業で、昨年10周年を迎えました。写真や動画といったデジタル素材を提供するオンラインマーケットプレイスである「PIXTA」というサービスを運営しており、マザーズに上場したのは2015年9月です。

私は2013年6月にピクスタに入社しました。コーポレート本部の経営企画部に所属し、広報を担当しています。

品川▶ 私は2009年に入社後、コンテンツディレクターやウェブプランナーなどを経験し、昨年5月から小林と同じ経営企画部でIRを担当しています。

田中▶ テラスカイは2006年創業で、クラウドに特化したシステム導入コンサルティングやサービス開発などを行っている会社です。システム開発といったテクノロジー分野の企業ですので、あまり一般企業の方には馴染みがないかもしれません。

私はテラスカイの創業メンバーとして2006年に入社し、エンジニアやマーケティング担当、そして広報などを兼任。今はマーケティング・コミュニケーションチームのマネージャーを務めています。

小林▶ あの「厚切りジェイソン」さんがいらっしゃる会社として一気に有名になりましたよね。

田中▶ はい(笑)。「厚切りジェイソン」こと、ジェイソン・デイヴィット・ダニエルソンは当社のグローバルアライアンス部長になります。さらに2015年の4月に上場したので、広報としてはかなり動きの多い一年でしたね。

臼倉▶ リンクバルも同じく、2015年4月に上場しました。地域活性化と男女の出会いを促す、いわゆる「街コン」のイベントECサイト「街コンジャパン」の運営をしていまして、設立は2011年12月。「街コン」などのイベントの企画・運営もしています。

私は2012年7月に入社し、主に総務業務を担当しているのですが、取材依頼などメディア対応の窓口も兼任しています。

山田▶  私は臼倉と同じ総務人事部で、部長を務めています。リンクバルは現状、広報もIRも専門の部署はなく、私がIR関連の一部を担当しています。

臼倉▶ 対外的な取材は私が窓口となりますが、イベントなどのプレスリリースの作成はイベントプランナーやサービスの担当者が各々で対応している状況ですね。なので、今日は皆さんの広報業務について勉強させていただけると嬉しいです。

    テラスカイ 
    メディアを介さない情報発信も行う

    広報・IR活動の歩み
    2010年 
    広報活動をスタート

    ・大手企業との共同記者発表の機会があり、それを機に広報活動を開始。
    ・専任担当がおらず、PR会社と契約してプレスリリースの配信を開始。

    2014年 IoTなどの時事キーワードをテーマにした記者向け勉強会を開催するなど、積極的な広報活動を開始
    2015年 上場に向け、信頼のできる企業ブランドづくりのため、コーポレートロゴを刷新
    <上場時> IRサイトの構築やロードショー資料の作成なども実施。
    <上場後> メディア向け事業戦略説明会の実施だけでなく、パートナー、顧客、業界関係者を招待した上場記念パーティーもマーケティングチームと企画、開催。
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    上場日に記者が集まらず後日開催でリベンジ 
    上場日に開催した事業説明会が大手企業のビッグニュースと重なってしまったため、後日自社でも事業戦略説明会を開催。グローバルアライアンス部長である「厚切りジェイソン」など含むすべての事業部長が出席し、約50人のメディアが参加。

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    事業拡大でロゴデザイン変更
    上場後を意識したコンセプトに 事業拡大にともない、上場の1カ月前には本社を移転。コーポレートロゴデザインの変更も行った。このタイミングでは上場の情報はまだ公開できなかったが、ロゴに込めた思いを「新たなフィールドへの飛躍、成長のエネルギーを表しています」と説明した。

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    エンジニアブログで自社の技術力をアピール 
    エンジニアブログである「TECH BLOG」は、2013年4月からほぼ毎週更新し続けている。運用の負担を軽くするために大勢のメンバーをアサインした結果、エンジニアの層が厚いと受け止められる効果も。

    DATA テラスカイ
    クラウド分野に特化したシステム導入コンサルティングや受託開発などを展開。
    創業 2006年
    社員数 約160人
    広報部門 マーケティング部(兼任)
    専任の設置 2015年9月(上場後)
    IR部門 CFO、管理部門長(兼任)
    専任の設置 未定
    2015年のプレスリリース本数 24本

他部署の議事録からネタ探し

――おそらく皆さんの中には広報の体制をゼロからつくってきた方や、現在進行形でつくろうとしている方もいらっしゃると思います。広報の土台づくりのために、まず何に取り組んだのか教えてください。

小林▶ ピクスタが広報活動を本格的にスタートさせたのは2013年のことです。サービスだけでなく、会社そのものの認知度向上を目的に広報専任として入社しました。最初に取り組んだことは、社内の情報を集めて何がネタになるのかを考えること。ネタがなければネタをつくって情報発信の機会を逃さないようにしました。

臼倉▶ 社内に情報が転がっていてもそれをどう世の中に出していけばいいかが分からなければ、メディアにもアプローチできませんよね。やはり基本的な部分を押さえていなければ。

小林▶ そうなんです。こうしたベースをつくった上で、新聞やウェブ媒体を中心にサービスと企業の両面からアプローチを始めました。

田中▶ 当社は上場後の2015年9月に専任広報を置いたばかりです。それまでは私が兼任業務のひとつとして、情報発信や取材対応をこなしていたような状況です。

山田▶  皆さん、プレスリリースなどを作成するトピックやネタを共有する会議などは開催していますか。

田中▶ いいえ、当社では現場からの情報のキャッチアップの場をあえて設けてはいません。ほとんどは社長から情報が下りてきます。

あるいは「そろそろ、こういうネタが出てくるのでは?」と予想を立てて、自分で直接営業やエンジニアに話を聞きに行くんです。当社はワンフロアなので、話を聞いて回るのがそれほど大変ではなくて。私自身は創業時から在籍しているのでコミュニケーションは取りやすいのですが、昨年、新しい専任の広報担当者が入社したので定例で情報共有する場は必要かもしれないと感じているところです。

小林▶ ピクスタの場合は、IRと広報が毎週定例ミーティングを行っています。部長が経営会議に出席しているので、新しいサービス情報といったストレートニュースになる話題はそこから集めてきて、私たちに定例会の場で共有されるというスタイルですね。あとは他部署の議事録が都度社内チャットで共有されるので、ここからネタ探しをしたりしています。

臼倉▶ リンクバルは2011年設立とまだまだ2社に比べれば新しい会社で、先ほど申し上げたとおり専任の広報はいません。ここ数年、おかげさまで「街コン」のマーケット拡大とともに、テレビなどのメディアで取り上げられる機会が非常に増えています。設立当時のメディアの取材は、社長を筆頭に役員がアポ調整から出演までをさばいていたのですが、ここ2年ほどでようやく取材の受付や日程調整は役員以外の担当が行うようになった……という状況ですね。

――特に新興のテクノロジー企業では自社コンテンツに注力していらっしゃる企業が多いと思います。それも広報の管轄でしょうか。

田中▶ そうですね。テラスカイではエンジニアブログを運営していまして、メディアを通さずに自社が持つ技術力を発信するために、毎週必ず技術情報をアップしています。

とはいってもエンジニアは皆、業務の合間に書いていますから、テーマに悩んでいる人がいたら一緒になってブログの切り口を考えたりする必要があるのですが……。

努力の甲斐もあって、ブログを読んでくださった別会社のエンジニアの方々に …

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