プロモーションや地域振興など、目的に応じた企業や行政団体によるキャラクター活用事例と、ヒットを生み出すポイントについて、キャラクタープロモーションの第一人者・野澤智行氏が解説します。
2015年12月30日、さいたまスーパーアリーナ「格闘技EXPO」会場にて。左から「レルヒさん」(新潟県)、「ふっかちゃん」(埼玉県深谷市)、「与一くん」(栃木県大田原市)、「さのまる」(栃木県佐野市)、「和み柴っこ」(京都市)、「ピカエルくん」(千葉県船橋市)、「カッパのコタロウ」(東京都墨田区)、「イーサキング」(鹿児島県伊佐市)、「すがもん」(東京都豊島区)、「ゴーヤ先生」(京都府福知山市)。
ニュースター不在の2015年
2015年のキャラクター業界は、新たな人気者が現れなかった1年であった。2014年の怒涛の勢いは鈍りつつも「妖怪ウォッチ」のキッズ人気は未だ高く、ご当地キャラも「ふなっしー」(千葉県船橋市)や「くまモン」(熊本県)が地域を問わず支持されて、既に定番キャラの安定感を示している。
だが、全国で誰もが知るキャラはごく一部で、「ねば~る君」(茨城県)や「ちっちゃいおっさん」(兵庫県尼崎市)などマスメディア露出が目立つしゃべる非公認キャラや、「ぐんまちゃん」(群馬県)や「しまねっこ」(島根県)、「みきゃん」(愛媛県)など地元支持が絶大な県公式キャラも、「ふなっしー」や「くまモン」には及ばない。かといって新たなスターを誕生させるには、デザイン・設定の素性の良さや臨機応変な運営体制に加え、自治体トップの理解や運が必要だ。一朝一夕でどうにかなるものではない。
そもそもご当地キャラの多くは地域PR手段のひとつであり、誰もが全国区を狙う必要はない。オンリーワンを目指して活動を可視化していけば次第にファンがついて世間の注目も集まるし、ブレずに草の根レベルで辛抱強く活動していく覚悟こそが必要なのだ。そんな中で注目されているのは、コアファン特化型の人気を得ているキャラの動向だ。例えば「カパル」(埼玉県志木市)、「大崎一番太郎」(東京都品川区)のように、狭く熱いコミュニティ内で支持されているキャラは多数存在する。世間的な知名度は決して高くないが確立したパーソナリティに裏付けられたつぶやきが多く、Twitterのフォロワー数は1万人超、イベント会場にはファンが多数押し寄せる。
これら“通受け”キャラは、地域内外でのイベントとSNSを連動させてコアファンを引き込むことに長けており、確実な動員と情報拡散が期待できる。また、イベント・SNSでのキャラ同士のやり取りを通じて …