欧州のメディアは日本社会や企業をどのような目で分析し、報じているのか。在英ジャーナリストの小林恭子氏が毎号、実際の報道や論調をもとにレポートします。

英デイリー・テレグラフに掲載された、ユニケア「やすらぎチェア」の記事。(ウェブサイトより)
孤独を解消する椅子
朝、新聞をめくっていると、短いニュースをまとめた欄に椅子に座っている女性の写真があった。小さな記事だが、椅子に座っていることが何故ニュースになるのかと疑問がわいた。記事を読むと、介護用品などを扱うユニケア(東京都文京区)が出している「やすらぎチェア」の話だった。
英デイリー・テレグラフが10月3日付で取り上げた記事の見出しは「1人暮らし?寂しさを打ち負かす椅子に抱いてもらおう」であった。ウェブサイトでは、記事とともに赤いポロシャツを着た若い女性が「やすらぎチェア」に座っている写真が2枚紹介されている。椅子の背もたれにはぬいぐるみの人形がついており、座る人は腰をおろした後、人形の両手に抱かれるような格好になる。
ユニケアの広報担当者が「椅子は安心感をもたらしてくれます。誰でも使えますが、高齢者向けにつくられました」と述べている。
日本は65歳以上の人口が全体の4分の1に達しており ...
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