機関投資家だけでなく、“ファン株主”を得たいという企業が増えています。本連載では、個人投資家向けに株式の評論を行う櫻井英明氏が、マーケットで選ばれるIRコミュニケーションの秘訣を読み解きます。
「未来創造に向けて」と題した、カイオム・バイオサイエンスの藤原正明社長の年頭あいさつ文。問い合わせの増加、今後の戦略など未来像を語り、投資家から期待と共感を得ることに成功している。
最近、外資系ファンドマネージャーなどの電話取材やアナリストとのワン・オン・ワン・ミーティングに忙殺されるIR担当者が多いと聞く。「短期の値動きに激しく反応する個人投資家よりも機関投資家とミーティングしている方が楽だ」と考えることもあるに違いない。しかしNISAもスタートし個人投資家の投資の時間軸も長くなってきた。「目先のアレコレよりも、明確な未来像が欲しい」という声も聞かれる。こういう現実と従来の短期売買主流の個人投資家像のギャップを埋めることは今年度の大きなテーマである。
特に成長セクターでは「今の数字」も大切だが「未来像」はより投資家の興味の対象。業績数字や財務指標にこだわる機関投資家も実は一緒だ。
あと70%