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小田急電鉄の山木社長「8年の広報経験が貴重な財産」

山木利満(小田急電鉄 取締役社長)

小田急電鉄の山木利満社長は、日本全体が成長から成熟に向かう時期に、広報として新しい取り組みにチャレンジした。広報時代に身に付けた経験が今も生きていると強調する。

小田急電鉄 取締役社長 山木利満氏(やまき・としみつ)
1947年神奈川県生まれ。東京都立大学(現首都大学東京)法学部卒業後、70年小田急電鉄入社。広報部長、総務部長、秘書室長などを歴任し、99年取締役、2011年6月から現職。広報には課長、部長など合わせて8年ほど在籍した。

グループの未来、広報で構想

入社15年目に課長代理として総務部広報課に配属され、5年間広報担当を務めました。その後秘書室を経て、広報に戻り広報部長も経験しました。当時の広報業務はマスコミへの対応、特にクレーム対応などの“守りの広報”が主流でしたが、それを改革しようという意気込みで仕事に取り組みました。

当時日本のGDPは右肩上がりで、当社も鉄道輸送人員の増加と経営の多角化で、86年に約6000億円だった売上高が96年には1兆円を突破しました。一方で、輸送人員の伸びに設備投資が追いつかず、朝のラッシュ時の混雑率は200%を超えるなど飽和状態にありました。混雑した列車が、新宿駅に近づくにつれのろのろ運転する状況が常態化し、お客さまから多くの苦情やご要望が寄せられました。抜本的な輸送力増強策として、近郊区間の上下線を各2本ずつにする複々線化事業の意思決定がなされたのもこの時代です。長年にわたって進めてきた複々線化事業は、2018年度に完成する予定です。

当時、小田急はグループ経営の強化を方針に掲げていました。しかし、箱根登山鉄道や江ノ島電鉄、神奈川中央交通のように、“小田急”の名前がついていない会社も多く、それぞれの会社がエリア内で不動産事業などを展開している、どちらかと言うと結束力が緩やかな企業グループでした。鉄道の周辺事業がどんどん拡大していくなかで、もっとグループの結束力を高めて、小田急グループとしてのイメージを強く打ち出していった方がいいのではないか。そう考えて、「総合生活サービス産業グループ」という概念を打ち出しました。

当時は「顧客満足(CS)」ということがよく言われた時代でもあります。総合生活サービス産業グループとして顧客満足度をいかに高めるかを考えた時、地域社会とのコミュニケーションをより深いものにしていくことが重要ではないかと考えました。小田急グループは地域にとってどのような存在となるべきか、グループの未来図を整理し、事業に落とし込んだものを1枚の紙にまとめました。それは現在も社内研修で使用しています。こうした経験を通して、小田急グループ全体を俯瞰して見る目を養うことができたと思います。

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