ロボット掃除機「ルンバ」で市場を築いたセールス・オンデマンド。創業者のバトンを引き継いだ室﨑肇社長は、「性急に方針を打ち出すことはしない」という。10周年を迎える同社の舵取りを聞いた。

「変わらない」と繰り返す
創業社長の木幡民夫さんが急逝されたのを受け、後任として社長に就任しました。昨年3月のことです。
当時、社内には動揺の色が見られました。木幡さんは絶対的な存在感があり、また社員にとても愛された人だったからです。そのため「木幡さんの遺志を引き継いで社長を務めますが、やることは今まで通りです。何かが急に変わるようなことはありません」と社員に話しました。これまでと変わらないと繰り返したのです。
当時は代表権のある副社長で、COO(最高執行責任者)という立場でした。木幡さんが引退されたら私が引き継ぐだろうという雰囲気がもともと社内にはあったのは確かです。もっとも、それは3年も4年も先のことだと考えていました。家電業界についての知識や人脈など、木幡さんから学びたかったことはまだ山ほどありました。
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