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TYO吉田博昭社長「本業の広告に集中して再生」

吉田博昭氏(ティー・ワイ・オー 代表取締役社長)

30数年前に5人で立ち上げたCM制作会社ティー・ワイ・オーは、その後M&Aによる急拡大と撤退、そして本業へ回帰し再生した。クリエイター集団を率いる吉田博昭社長の次なるビジョンとは。

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ティー・ワイ・オー 代表取締役社長 吉田博昭氏(よしだ・ひろあき)
1949年神奈川県生まれ。早稲田大学在学中からCM制作に携わる。日本天然色映画(当時)を経て、1982年ティー・ワイ・オー設立。ディレクターとして400本ほどのCM演出を手がけたのち、95年からは経営に専念し同社を上場に導いた。

急成長から自己資本比率0.8%へ

ティー・ワイ・オー(TYO)はテレビCMなどの映像をはじめ、グラフィックやデジタルメディア、イベント、セールスプロモーションなど広告のあらゆる領域を手掛けるプロダクションです。現在、連結で700人ほどの従業員を抱えており、そのうち約90%がクリエイターです。

当社には「ブランド」と呼ぶ30人から40人規模の事業部門がいくつもあり、それぞれが独立採算制で活動しています。良い広告をつくるには、クリエイターのモチベーション次第と言っても言い過ぎではありません。小規模な会社のようなチーム単位で活動することでブランドの独自性が高まり、ブランド同士が競争心をもって制作に向かうことができています。

TYOの創業は1982年。CM制作会社を辞めたのち、フリーとして3年活動した後に5人で立ち上げました。当時はクリエイティブ・ブティック全盛時代で、大手の仕事が次々に舞い込み5年ほどで年商約30億円にまで成長しました。その時に映画制作に携わったことがきっかけとなり、本業である広告とは別にエンターテインメント分野に進出しました。

2002年にジャスダックに上場したのを機に、映画やゲームといったエンターテインメント分野の企業を買収していきました。「ウルトラマン」で知られる円谷プロダクションもそのひとつです。

03年にクリエイティブビジネスのインフラ構築を目指す「クリエイティブビジネス都市」構想を掲げ、小規模で個性的なプロダクションを次々にグループに受け入れました。一般的にクリエイターは経営に無頓着です。独立しても継続性のある経営基盤の構築ができていないケースが多く見られます。そうした会社のマネジメントをTYOが手伝い、各社にはクリエイティブに専念してもらい共存共栄していこうと考えたのです。この構想の下で次々にM&Aを進めていった結果、傘下企業は最大で47社、連結従業員は1000人規模にまで膨れ上がりました。

広告は知恵の勝負であり、アイデア次第で小さな会社も大企業に勝つ可能性があります。しかし映画などのエンターテインメントは、メディアに対する圧倒的な支配力や資金力がなければ継続的に勝ち続けることはできません。そのことに気づいたのは、過大な借り入れを抱え、自己資本率0.8%という上場企業とは思えない数値が明らかになった2009年のことでした。いくら広告で利益を稼いでもエンタメ事業で全て帳消しです。これ以上続けたら本業として伸び続けている広告ビジネスまでだめになると考え、この分野からの撤退を決めました。

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TYOはテレビCM制作会社大手のひとつ。年間のCM制作本数は500本を超える。

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