販売促進の専門メディア

           

新・売り方の構築

一般労働者の約2倍 店舗スタッフのメンタルケアの重要性

安紗弥香氏(こんくり コンビニ社労士)

店員のマスク未着用によるクレームや、商品欠品によるクレームなど、小売店舗がさまざまな対応に追われている。そのような状況が発生しない対策も重要だが、店舗スタッフのメンタルケアを丁寧に行うことも重要である。コンビニ社労士の安紗弥香氏がその重要性について解説する。

調査から見る 店舗スタッフのストレス

店舗で働くスタッフは、いつもさまざまなストレスにさらされます。

と、最初にこういうことを言ってしまうとインパクトがありますが、顧客対応、上司からの対応、取引先や業者との対応、労働環境……など、常にストレスがつきまとう環境であることは、実際に店舗で勤務する人であれば、うなずける要素が多々あるかと思います。私自身小売業界が長く、店舗勤務では日々多くの人と接し、数値と向き合っているなかで心身ともに疲れ、幼少期に完治したと思っていたアトピー性皮膚炎が再発したこともありました。

そうした多くのストレスと向き合い、またうまく付き合っていくには、日々のメンタルケアの積み重ねがとても重要です。本稿では店舗スタッフのメンタルケアの大切さについてまとめました。

厚生労働省「こころの耳」のWebサイトからアクセスできる「小売業におけるストレス対処への支援」の文書によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は約6割。この数値は店舗勤務者以外も含みますが、店舗という職場環境の特性上、多くのストレスのきっかけがあります。

表 職業性ストレス簡易調査票各尺度の高ストレス群※の割合(%)
(販売サービス職と一般労働者)

厚生労働省が開発した職業性簡易ストレス調査票57項目を使って、一般職と販売職を比較したストレスに対する状況の調査結果では、大きな違いが出ています。たとえば「体を動かす」ことへの身体的なストレスについては、男性の一般労働者では8.2%であるのに対して販売職では20.9%、女性でも9.6%に対して24.1%と非常に高くなっています。商品搬送のために動き回ったり、売り場で商品を陳列したりするなど、身体面での負担があるためと考えられます。

また、「仕事の上で感情や気持ちがかき乱される」「感情面で負担になる」「仕事に感情的に巻き込まれてしまうことがある」といった感情負担、「たとえ気が進まなくても皆に平等に接することが求められる」「皆にどのような態度を取られようとも皆に親切で親しみやすくあることが求められる」といった感情を隠すことによる負担については、男女ともに管理職で最も高く、ついで販売職で高いことがわかっています。

向き合うべき 5つのストレス

私が経験したものも含めて、店舗勤務者が抱えるストレスを5つ挙げていきます。

①顧客対応
一番大きいのは、お客さまへの接客に対するストレスです。お客さまがレジ待ちの列をなさないように早く会計作業をする、多方向からくる問い合わせに対応する、飲食店では注文に対応する、長時間の個別対応などもあります。また、お客さまからのクレーム対応は、ストレスの最たるものです。

②上司や部下、社内の対応
お客さまと同様、社内の対応もストレスになることがあります。上司からの指示であったり、数値獲得への叱咤激励であったり、あるいは部下への指示やフィードバックなども、一定のストレスがかかります。

③数値との闘い
店舗での役割にもよりますが...

あと64%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

新・売り方の構築 の記事一覧

北海道物産展中止を受け Web掲示板で販売支援
リベンジ消費に備えて いま小売店舗がすべきこと
市販薬販売は最善を尽くしているか?~専門的知見と経営的利益の衝突~
一般労働者の約2倍 店舗スタッフのメンタルケアの重要性(この記事です)
新テクノロジーでひろがる5G時代の新しいeコマースの形
店舗の売り場における 購買阻害要因とその低減に向けて
いまこそ参考にしたい 成長を続けるECサイト4選(2)
みんなはどうやってる?「オンラインミーティング」のコツ
認知心理学から考える 売り場での効果的な商品陳列
顧客満足度を高めるVMD VMDプレゼンテーションの基礎
いまこそ参考にしたい 成長を続けるECサイト4選(1)
販売促進からリスクヘッジまで 知っておくべき商品写真の基本
アプリのリリースで顧客とのつながりを強化
オンラインでの販売チャネル構築のために 勝てるeコマースの始め方
販促会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する