
神保町にある私のオフィス近くに、昔ながらのタバコ屋がある。そこで、昭和の空気をまとった、トイレットペーパーのパッケージデザインを見つけた。
昔の在庫が残っているのかと思いきや、聞けば、現役バリバリに売られている商品ということだった。メーカーに電話してみると、長い間変更したことのないデザインだそうだ。しかし、合併などを経て詳細はわからなくなってしまったという。おそらく昭和に作られたデザインをそのまま使用しているのではないかと思う。
3本のラインに筆記体で「カトレヤ」のブランド名。ノスタルジックでありながら洗練された印象と強さを感じさせる。時代を超えて愛される、強いデザインである。
こうしたデザインに共通するのは、オリジナリティが高くて美しいことだろう。商品は常に社会環境の変化に大きく影響される。そうした荒波を乗り越えて今なお、一線で愛されるデザインは本物と言えるだろう。デザインを作る立場からするとうらやましい。
通常のデザイン制作は、競合やポジショニング、商品コンセプトを意識しながら進めるが、本当のオリジナリティは競合やポジショニングを意識していては作れない。商品の本質を見抜いて、ゼロから作り上げることで、今までにないオリジナルなデザインができあがる。
しかし、オリジナリティが高いデザインは...
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