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「体験」が実店舗を進化させる

入居者らと作りあげるイベントで「渋谷」の新たな形を打ち出す

SHIBUYA CAST.

「百年に一度の再開発」が進む渋谷。少子化・多国籍化・超高齢化⋯などの社会の変化にともなって、渋谷がその姿を変えようとしている。渋谷を訪れる、渋谷で働く、渋谷に住む─「SHIBUYA CAST.(渋谷キャスト)」は、渋谷にいる意義をもたらせる施設を目指すという。

「食」をテーマにした金曜夜のマルシェを開始

「SHIBUYA CAST.(渋谷キャスト)」が開業1周年を迎えた。賃貸住宅・オフィス・シェアオフィス・イベントスペース・商業施設を備えた、文字通りの複合施設。地上16階建て、延床面積は約3万5000平方メートル。オフィスにはベイクルーズグループや、KDDIのグループ会社等が入居する。

上層階にある賃貸住宅は全80戸。渋谷駅東口から明治通り沿いに原宿方面へ進み、通称キャットストリートの起点に位置する、旧都営宮下町アパート跡地の活用事業である。代表企業の東急電鉄ほか、大成建設、サッポロ不動産開発、東急建設の4社が出資、開発したプロジェクトだ。

施設の「顔」となるのは、明治通りに向かって開かれた広場。利用可能範囲は約250平方メートルで、休日だけでなく平日も各種ワークショップやヨガ、展示会、ショーなどさまざまなイベントが開催され、ランチにはキッチンカーが出店し、日々賑わいを見せている。

直近では3月に「Healthy Friday Market」と題したイベントを開催。キッチンカーをはじめ、生産者による野菜や果物、加工品の販売、家庭でできる生ゴミリサイクルのためのコンポストづくりを学べるワークショップなどを開催した。フードロス(食品廃棄)を減らす目的で、廃棄が近くなった野菜を加工し、販売するキッチンカーも登場した。

同イベントの特徴は、あえて金曜日の夕方4時~夜8時(キッチンカーは9時)という時間帯を選んだこと。「会社帰りや、これからゆっくり週末を迎えたい方々に金曜の夜に気軽な気持ちで立ち寄ってもらえたら」と話すのは、東急電鉄の渋谷戦略事業部主事、髙橋祐也氏だ。

都内のマルシェは土曜日や日曜日に開かれることが多く、人が集まるかが懸念されたものの、「フタを開けてみると、初回としては上々の成果だったと思います。買い上げベースで500人超といったところ。もう少し早くスタートすれば、学校や幼稚園・保育園などから子どもと帰宅する保護者層など、より多くの方に楽しんでいただけるかもしれません」と、髙橋氏は手応えを話す。客層は日本人に限らず、訪日観光客の姿も多く見られたようだ。今後は奇数月に開催し、次回は5月11日を予定している。

「マルシェだけを目的に訪れるというよりは、地域に住まわれている方、周辺で働かれている方、ほかの目的で渋谷や原宿に来た方に、気軽に立ち寄ってもらえる"場"となれば」(髙橋氏)

開業当初から開催し、人気を博している「デザイナーズマーケット」は偶数月に開催する予定で、奇数月開催の「Healthy Friday Market」とともに、定期イベントの両翼に育てる考えだ …

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