いま必要なのは「情報共感型コピー」だ――「情報」と「情緒」、2つの共感ポイント
従来の「情緒共感型コピー」とは異なる、プロモーションへと人を動かす「情報共感型コピー」とは。現代の消費者を動かすコピーのあり方から、提案先企業を巻き込み、ターゲット周辺への届く方法まで、POOLの小西利行氏、小林麻衣子氏に聞いた。
キャッチフレーズ GOOD&BAD
企業側からメッセージを届けるよりも、熱心なファンをはじめとした消費者サイドから商品やサービスについて発信してもらうほうが、購買・利用を検討する人には届きやすいケースがある。「ファン」から口コミを起こしてもらうためのポイントを、アジャイルメディア・ネットワークの上田怜史社長に聞いた。
日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は、「KFCアンバサダーミーティング」と題したイベントを開き、アンバサダーに商品を食べてもらうなどして、商品開発に生かしている。
メーカーにとっては、小売業が消費者との間に入ることが多いため、いわゆる「お客さま窓口」が主な接点だった。そこにインターネット、特にソーシャルメディアが普及して直接の接点を持てるようになった。「アンバサダープログラム」は、こうした背景から生まれた、「ファンから口コミや評判が広まる仕組みを構築するプログラム」だ。いわゆる広告・販促のキャンペーンとは対極的な手法として、一定期間に限った施策ではなく、長期的に続けることが前提となる。
従来「アンバサダー(ブランドアンバサダー)」は、基本的には、有償で企業や商品について述べたり、ファンを集めたりするなどして、積極的に話題を広げようとする人物が就いた。多くの場合、発信力のある著名人が起用される。
けれど、個人も情報発信をする力を持ち、好きなブランドに対して、アンバサダー的な役割を担えるようになった。一般人起用の代表例は、ネスレ日本による「ネスカフェアンバサダー」だ。
コーヒーマシンを無償で貸与し、アンバサダーとなった人が中心となってコーヒー代(1杯あたり20円〜)を徴収する仕組み。会員数は実に20万人超。ネスレ日本は「らくらく社内説得キット」を用意してオフィスへの設置を促している。
「ネスカフェアンバサダー」の場合は、新たな販路としても機能するため売り上げへの寄与が直接的だ。では、一般に「アンバサダープログラム」は、どんなふうに業績に貢献するのだろうか。
多くの場合は、既存顧客の中でも熱心なファン層による情報発信で、興味を喚起したり、購買の後押しをしたり、という効果が期待できるようだ。
特に、自分が明るくない分野の製品を買う際、既存利用者の実感は購入決定に大きく影響する。「レビューを読んでから買いたい」と思っている人は少なくないため、よい情報の流通が生まれる。
「アンバサダープログラム」運営支援を手がけるアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)は7月22日、ファンやアンバサダーとのコミュニケーションを重視した活動を顕彰する「アンバサダープログラムアワード2016」を発表した。
企業の担当者のノミネートによる100件あまりのプログラムの中から、やはり企業担当者150人超が投票。花王、カルビー、キリン、ソニーモバイルコミュニケーションズなど、8施策を選出した。前述のネスレ日本も選ばれた。
「(受賞企業は)消費者側から意見を聞くだけでなく …