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キャッチフレーズ GOOD&BAD

コピーはターゲットと自治体を巻き込む指針に

「地域創生」がお題目のように叫ばれる昨今だが、自治体プロモーションを進めていく上で、コピーはどのように役割を果たせばよいか。一般企業のコミュニケーションの傍ら、10以上のシティプロモーションにも携わる、クリエイティブディレクターでコピーライターの田中淳一氏は、「未来に作用する言葉が必要」と語る。

鳥取市のシティプロモーションの一環で発売した『すごい!鳥取市 100 SUGO! BOOK』。若手写真家の浅田政志氏が、「鳥取市のすごい!」を100点撮り下ろしたフォトブックだ。鳥取市のディープな魅力に触れられる。

─「コピーが機能する」というあり方に変化を感じますか。
それはどのようなものでしょうか。

田中淳一氏▶︎︎ かつてよりも情報の賞味期限が極めて短くなっていると感じませんか。以前なら1週間は話題を席巻したような出来事でも、いまは2日〜3日ほどで次の話題に移ってしまう。コピーライティングを含め、コミュニケーションビジネスも高速化していると痛感します。

日々、さまざまな事件や話題がひっきりなしに私たちに届きます。例えば、テレビCMが見られたとしても、よほど強く感情を揺さぶれなければ、次の瞬間にスマートフォンに視線が映り、CMの記憶は上書きされてしまいます。

さまざまな場面で起きる、消費者の時間の奪い合い。その状況を考えてみると、「考えてもらう」タイプのフレーズ─これは、なかなか使いどころがむずかしいな、と思うことも、しばしばあります。

その「考えてもらう」時間が果たしてあるのか、そういうことに使わせてしまっていいのか、というのが悩ましいところです。

それなら、シンプルでわかりやすく、パッと伝わるフレーズのほうが、現代の情報の渦に巻き込まれている人にとっても受け入れられやすいのではないでしょうか。

─「商品の差別化が困難」という声もよく耳にします。
シンプルに言い切るのは、さらに難しいかもしれません。

田中氏▶︎ これまでは、商品など売りたいモノが先にあって、コピーは、そのモノを魅力的に見せるために書かれることが多かった広告はしばしば欺瞞に走りがちなきらいがあったのではないかと自省を込めて思います。そうした広告に消費者が慣れ、そしてネットやソーシャルメディアの普及で、消費者の嗅覚はより鋭くなった。人をあざむこうとするものはますます見られなくなりました。

いずれにしても、「底上げ」を続ければ続けるほど、消費者からの視線は厳しくなっていきます。ヘタをすれば、逆に攻撃を受けてしまいます。

いま問われているのは、商品以前の、それをつくった考え方や姿勢、態度のほうだと思います。その姿勢を広く示して共感が得られれば、十分“広告表現”になることもあります。

商品を通じて目指しているものは何か、それを整理して、シンプルに伝える。しかも …

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