未来の芸術を育む場になりえるかという問い
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?
――国立西洋美術館 65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ
西欧に「美術館」という制度が本格的に誕生した時期と重なる18世紀末、作家のノヴァーリスはこう記した。「展示室は未来の世界が眠る部屋である。⸺未来の世界の歴史家、哲学者、そして芸術家はここに生まれ育ち⸺ここで自己形成し、この世界のために生きる」。
主に中世から20世紀前半までの西洋美術作品を収蔵・展示してきた国立西洋美術館の母体となった「松方コレクション」を築いた松方幸次郎は、日本の若い画家たちに本物の西洋美術を見せるべく膨大な数の美術品を収集した。しかし、同館はノヴァーリスの言うような「未来の世界が眠る部屋」となってきたであろうか。
1959年の開館以来、初の現代美術展となる本展では、館設立の原点を見つめ直すと同時に、その問いを多様なアーティストに...
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