立川にある「PLAY! MUSEUM」で開催されている「谷川俊太郎 絵本★ 百貨展」( 7月9日まで)を訪れた。観るにとどまらず、身体を動かし、聴いたり触ったりすることで、五感で感じる楽しさに満ちている。キュレーションを手がけた林綾野さんの話を聞いた。
読み手に向けた希望の眼差しを感じてもらう
「PLAY! MUSEUM」は、立川駅から徒歩5分ほどのところにある「GREEN SPRINGS」という施設の中にある。中央に大きな広場を備え、周辺にはカフェや飲食店をはじめ、さまざまな物を扱っているショップが並び、ホテルや文化ホールも入っている。青々とした木が茂り、草木や花が景色を彩っている。あちこちにベンチが設えてあってくつろげる。2020年のオープン時に取材した時から、心地よい場と気に入っていた。
そこにある「PLAY! MUSEUM」は、「子どもから大人まで誰もが楽しめる美術館。絵とことば、さまざまな体験を通じて、自由に感じて、発見できる場所」といううたい文句が気になっていた。過去に開催された展覧会も独自性があって「おもしろそう」と思いながら、訪れたのは初めてだった。
谷川俊太郎さんは、1960年代から現在に至るまで、世界中の絵描きや写真家と共に200冊に及ぶ絵本を手がけてきた。企画の意図について林さんは、「谷川さんは絵本づくりを通して、詩とは異なるかたちで言葉への挑戦を行ってきた。それを多くの人に感じてもらえたらと思ったのです」。
谷川さんに伝えたところ、絵本は詩と違い、絵や写真が伴うことで世界が広がるものであり、「おもしろいことが大事。そういう展覧会にしてほしい」と言われたという。「谷川さんの絵本に共通するのは、読み手に向けた希望の眼差しです。説明で理解するのではなく、自然と心を開いて自分で感じていく。そういう展覧会にしたいと企画を進めました」(林さん)。約20冊の絵本を取り上げ、さまざまな分野のクリエイターと一緒になって、原画をはじめ、巨大な絵巻、描き下ろしのインスタレーション、朗読や音、映像など、バラエティ豊かな作品を展示することにした(01)。さまざまな顔を持った絵本を、さまざまなかたちで紹介することから、タイトルに「百貨展」というフレーズを盛り込んだ。
身体と心に伝わってくるさまざまな仕掛け
展覧会の入り口には、「谷川俊太郎 絵本★百貨展」の素敵なロゴと共に、...