ザ・コンランショップのトップを中原慎一郎さんが務めていると耳にして、新しいことが起きそうとワクワクした。どんな動きが進んでいるのか、ザ・コンランショップはどんな方向に進もうとしているのか。中原さんの話を聞きに行った。
日本に上陸して来年で30年
取材のため、新宿のパークタワーの中にあるザ・コンランショップを訪れた。ここは1994年、ザ・コンランショップが日本に上陸した時の1号店。当時は、バブル景気の余波が残っていた。パークタワーは新宿駅から徒歩15分ほどかかる立地だが、「ザ・コンランショップ」と「パークハイアット東京」が入っているということで、憧れの場として脚光を浴びた。広々とした空間の中に、おしゃれな家具をはじめ、さまざまな雑貨が並んでいる。いわゆるライフスタイルを取り巻くものが、独自の視点で選ばれている様に魅了されたのを覚えている。
それから30年近くが経ち、世の中にはライフスタイルを提案するセレクトショップがずいぶんと増えた。そんな中にあってザ・コンランショップは、相対的に輝きが少し弱まっていると感じていた。
ここで触れるまでもないが、ザ・コンランショップは、デザイナーでもあるテレンス・コンランによって、1973年、英国・ロンドンに第1号店を開いている。オリジナルのレストランやカフェにとどまらず、数々のショップやホテルのプロデュースを行うなど、幅も奥行きもある仕事を手がけてきた。
「ザ・コンランショップとの出会いは衝撃的だった」
一方で中原さんは、オリジナルの家具や雑貨を扱う「プレイマウンテン」や、カフェの「タスヤード」を展開しているランドスケーププロダクツのファウンダーであり、それ以外にも、インテリアや空間をはじめ、企業とコラボレーションしたプロダクトや場のプロデュースを数多く手がけてきた。
何度かお話を伺ってきたが、ものを選ぶ優れた眼差しを持っているにとどまらず、それが暮らしの中で使われることで、どんなシーンが生まれるのか──そこまで思いを馳せながら、ものや場と関わっていく。だからだろう。代官山の「こどもビームス」にしても、青山の「call」にしても、中原さんが生み出したショップは、用がなくても...