クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に活かしているのか。今回は、料理人であり醸造家・米農家としても知られる「とおの屋 要」の佐々木要太郎さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。
『加守田章二全仕事』
加守田章二(著)
(講談社)
物心ついた時から、よく母に言われた。
「加守田章二という凄い陶芸家が遠野にいたのよ。加守先生のところによく遊びに行っていた。加守先生が亡くなる少し前のお見舞いに、あなたも連れて行ったのよ」
それが、加守田章二という20世紀の陶芸界の鬼才を知ったきっかけだった。
1971年に開かれた展覧会の案内状に、加守田章二の言葉が記されている。
“科学文明の急進が 世界を狭くし
色々の文明が入り乱れても
日本人はあくまでも日本人である
自己を見つめる時は
やはり日本人としての自分を見つめ
それが世界の中の
自己を見つめることになる
自分個人の世界の中で
陶芸を使って日本人の源を発掘することが
私の仕事である
自分の外に無限の宇宙を見る様に
自分の中にも無限の宇宙がある
この両宇宙への調和のとれた集注が
行動の本質である“
私はこの言葉を糧に、地方の中の地方で自分自身に挑み続けることを決意した。皆さんも今一度、日本人としての...