クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に活かしているのか。今回はレシピ開発や店舗プロデュースなど、数々のフードディレクションを手がける料理家の山田英季さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。
1960〜1990年頃の『VOGUE』
(コンデナスト・パブリケーションズ)
僕の両親は、服飾系の専門学校で知り合い、2人ともアパレルの世界で働いていました。
そんな家庭は、家の中でも洋服にまつわるものに囲まれています。クローゼットには洋服が並び、テレビからは、パリやミラノ、ニューヨークのコレクションの映像が流れます。もちろん本棚にもファッション誌が並ぶわけです。
小さい頃は気にならなかったのですが、思春期になりはじめた自分は、今までの親に着せられていただけの服に強烈に興味を持ちはじめました。そこで手に取ったのが、本棚に並ぶ『VOGUE』でした。ファッションもそうですが、フォントの選び方、ページ配色、今とは違う広告の表現、全てが新鮮でした。
当時は、「おしゃれをしたい。親と同じ道を目指してみよう」などと考えていましたが、今、料理の分野で、レシピ開発、店舗プロデュースなどフードディレクションという仕事ができているのは、この頃に100冊以上見た『VOGUE』の中にあるひとつの世界観、それをつくるクリエイティブに触れられたことが、大きいと思います。
今、見ても古びていない世界を、あなたの本棚にもぜひ。