2022年10月、東京・南青山に「Red,Gold&Green」という名のブティックが登場した。ファッション誌の『commons&sense』(発行元:CUBE)が手がけたということでも話題を呼んでいる。どういう意図からブティックを立ち上げたのか、今後はどうしていくのか、代表を務める佐々木香さんの話を聞いた。
「大好きなファッションを買い続けるために」
佐々木さんが編集長兼発行人を務める『commons&sense』は、1997年の創刊時から注目を集め、2006年には『commons&sense man』を創刊し、世界15カ国28都市で扱われている。ページを繰っていくと、惜しみないクリエイティビティが盛り込まれていて、強い“ファッション愛”が伝わってくる。ここ数年、デジタル化の波の中、リアルな紙媒体の存在意義が問われている。廃刊するファッション誌も出てきているが、『commons&sense』は独自の昂揚感を発しているから、確かなポジションを得ているのだと思う。
取材の場に現れた佐々木さんは、黒ずくめのファッションにサングラス姿で、パワフルなエネルギーを発している。破天荒でやんちゃなストーリーが笑いを誘い、真っ直ぐで本質的な話に惹き込まれる──チャーミングなキャラクターの持ち主と感じた。「Red,Gold&Green」を立ち上げた理由は「ファッションを楽しみ続けるため、地球の気候変動をはじめとするさまざまな問題を、少しでも解決していきたい」と考えてのことという。
以前から佐々木さんは、地球環境にまつわる問題に関心を抱いていた。ことを興すには、まずコンセプトが大事ということで、屋久島や八ヶ岳などを巡りながら考えた。最終的に行き着いたのは、都会にいる自分たちができることをやっていこうということ。ファッションを楽しむのを止めるのではなく、それ以外の領域において、できるだけ地球環境に配慮したものを使っていく。そういうライフスタイルを提案していくのが「Red,Gold&Green」の姿勢──「大好きなファッションを買い続けるために!」を掲げ、独自の視点で選んだサステナブルな日用品をそろえたのだ。
地球環境との共生や、資源の有効活用などは、外すことができない社会課題になっていて、多くの企業が何らかの対策に乗り出している。中には、時代の流れを鑑みて、企業の看板を磨くために表層的な取り組みをしている──そんな姿勢が透けて見えるところもある。が、佐々木さんは「理論や表層でなく...