この春にオープンした「ニコライバーグマン 箱根 ガーデンズ」が人気と聞いた。花を取り巻く多様な活動を繰り広げているニコライ・バーグマンさんが、広々とした公園をつくったというのだから興味津々。どんな意図でどんなガーデンをつくったのか、話を聞きに行った。
自然とつながる場を多くの人に味わってほしい
「以前から公園をつくりたいという思いがあり、場所を探していたのです」とニコライさん。8年前、箱根の強羅で売りに出ている土地と出会い、オーナーにアプローチしたところ、すっかり意気投合した。当初はそこまでの規模を考えていなかったそうだが、結果的に約2万8000平米に及ぶ広大な公園をつくることにしたのだ。
ニコライさんとオーナーが共鳴し合ったのは、「ありのままの自然を尊重することを前提に、広く一般の人に開かれた場にしたい」というポイントだった。箱根という地が育んできた自然を活かし、独自のガーデンをつくり上げることに、膨大な時間と手間をかけたという。
なぜガーデンをつくりたかったのか──自身が長年にわたって手がけてきたフラワーデザインは、「基本的には切花の命とともに終わるもの。約1週間から10日というはかない寿命のクリエイションに、限られているからこその価値を感じる一方、もう少し息が長いクリエイションもやってみたいと考えていました」(ニコライさん)。一過性ではなく継続性があるもの、徐々に変化しながら成長していくもの──自身のクリエイティビティを自然の中に映し出し、人と自然がつながる場をつくり、多くの人に味わってほしいと、このプロジェクトを興すことにした。
また、日本古来の文化に対し、深い敬意を抱き、そこから影響を受けてきたニコライさんだからこそ、日本の庭園美に見られる「これが完成された姿」という美を認めながら、ここでは季節や土地のあり方に寄り添い、姿を変えていくガーデンをつくろうと考えた。
コンセプトは「モバイルガーデン」
「木や笹が生えている広大な土地をガーデンにするには、予想以上の労苦と手間がかかりました」(ニコライさん)。林だった土地を前に、まずは大きなランドスケープを描き、道をつくり、植物を配していった。しかも、「土地の自然を活かす...