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名作コピーの時間

色っぽい言葉

坂本美慧

    一瞬も 一生も 美しく

    資生堂/2005年
    〇C/国井美果

    「これがいい」ではなく「これでいい」

    良品計画/2002年
    〇C/深澤直人、原研哉

    強く握ると、朝の匂いがした。

    サントリー/2015年
    〇C/太田恵美

自分のコピーに対する性癖を考えると、色っぽさにあるように思う。市場調査から導き出されたものだけでなく、その墨文字に彩りを加えられる人に、憧れます。

広告に釘付けになるという経験を、初めてしたのは大学受験の不合格通知を受け取った日。家で一人、テレビを見るともなく眺めていたときに流れてきたCM。「ほんじつ私は ふられました わかっていました 無理めだと」。資生堂の企業CM「新しい私になって」。その歌詞を、大学に振られた自分と勝手に重ねたことは言うまでもないけれど、女性の繊細な変化を切り取る画に吸い込まれていった、その先にあった言葉。

「一瞬も 一生も 美しく」。

分析せずとも美しい。その音も、字面も、問いかけも。

一方で「っぽい」という接尾辞がつく言葉は常に危うさを孕んでいる。気を抜けば「泣けるっぽい」...

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