システム会社のSCSKは4月27日から、初となるテレビCM「Suits」篇を関東・関西・中部エリアで放映した。驚くべきは、「知名度は無いが、ITの可能性はある」と自ら言い切ってしまう潔いフレーズだ。俳優の今田美桜が黒いスーツを身にまとい、「♪無いぞ、無いぞ、知名度。SCSK」と連呼する。やがて「あるぞ、ITの可能性。」とクールに決めたかと思いきや、再び「♪無いぞ、知名度」と歌い出すのだった──。
制作の背景には、2020年に定めた「グランドデザイン2030」がある。「『2030年に“共創ITカンパニー”の実現と売上高1兆円を目指す』と宣言したものです。この目標達成には、企業ブランド価値の向上が不可欠。CMを通してアプローチしたかったのは新規の取引先となるような企業の経営者層やビジネスパーソンです。社内のエンゲージメントを高め、組織変革、ビジネス変革を加速させたいという想いもありました」(広報部長 大友秀晃さん)。
まずはSCSKがIT企業であるという企業認知度の向上を目指し、3年後の認知度(KGI)と、年度ごとの認知度(KPI)を設定。オリエンではこの目標値をクリアするクリエイティブとメディアプランを募った。その後、5社からの提案を経て、博報堂チームの企画に決定した。
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