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行為と環境が繋がったものとなるような場所──SANAA展「環境と建築」

筏久美子(TOTO ギャラリー・間)

TOTOギャラリー・間で行われている“妹島和世+西沢立衛/SANAA展「環境と建築」”が話題を呼んでいる。同ギャラリーの展示は、奇抜さや派手さとは離れたところでユニークなコンセプトを立てていると感じてきた。今回の展覧会がどんな意図のもと、どのように行われているのか、代表を務める筏(いかだ)久美子さんの話を聞きに行った。

妹島和世+西沢立衛/SANAA展「環境と建築」。©Nacása & Partners Inc.

「行為と環境が繋がったものとなるような場所をつくっていきたい」

TOTOギャラリー・間(以下、ギャラリー・間)は、東京メトロ乃木坂駅の目の前にある。入り口からエレベーターで3階へ上がり、扉が開くとギャラリーの展示空間がひらけている。こじんまりした空間に配された立体物の数々が、あるものは床に沿うように、あるものは腰の高さで、あるものは壁面に沿って屹立している。奥の窓を通して中庭に続く展示が見渡せ、その全景に心奪われる。

「SANAAの展覧会は、2003年にも実施していて2回目、その前に妹島和世さん単独の個展も開催しています」と筏さん。この展覧会は、東京2020大会のタイミングに合わせる予定だったこともあり、世界に向けて発信するほどの勢いをもってスタートした。それが新型コロナ禍によって、1年半の延期を余儀なくされたが、企画を練る時間が増えたことが功を奏した。「既に世に登場しているものだけでなく、現在進行形のものも含めて展示することにしました」(筏さん)。SANAAが世界の各地で取り組んでいる最新プロジェクトを中心に構成することにした。

掲げたテーマは「環境と建築」。「建築をつくることで境界をつくり出すのではなく、私たちの行為と環境が繋がったものとなるような場所をつくっていきたいと思っています」というSANAAからのメッセージが添えられている。

同ギャラリーは、建築の価値やありようについて、建築に詳しい人だけでなく、次世代の建築を担う人をはじめ、幅広い層に伝え広めていきたいという思いのもと運営されてきた。「作品の展示に留まらず、建築家の考え方や生きざままで含めた提案をしていくことで、建築が持っている幅広い概念を、次世代に向けて伝えていくことを意図してきました」と筏さん。今回の展覧会には若い層も数多く訪れていて、会場である3階と4階を行きつ戻りつして時を過ごす人が少なくないという。

新型コロナ禍により、企業が運営する文化的な施設が閉まったり、休館になったりという事例が後を絶たないのを残念に思っていたので、こういったギャラリー・間の活動にエールを送りたくなった。

3階では周辺環境と建物の関係を示す全体模型を展示。「HOUSE IN LOS VILOS」(西沢立衛建築設計事務所、チリ)。©Nacása & Partners Inc.

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