3Dプリンティングをはじめ、デジタルデータをもとにした創作技術「デジタルファブリケーション」。これらは広告・デザイン領域の可能性をいかに広げていくのか。TOKYO2020の表彰台プロジェクトなどを手がけた、平本知樹さんが解説する。

帝国劇場に設置されている「熨斗」。
3Dスキャンとアーカイブ
3Dプリントするために必要な3Dデータのつくり方にも多様な手法があります。そのうちのひとつが3Dスキャンです。レーザーなどを用いて、被写体との距離を3次元的に測定するこの方法は測量技術の向上により活用が広がっています。今回は、アーカイブという視点から3Dスキャンの活用事例を紹介しようと思います。
建築分野では、老朽化のため解体されたメタボリズムの名建築「旧都城市民会館」がデジタルアーカイブされました。gluonを中心としたチームは、建物の建築的価値を後世へ継承しその姿を記録するだけでなく、バーチャル空間に適した建築として3Dデータ上でリノベーションしたのです。ARやVR、ゲーム空間などに適用可能なものとして新陳代謝させたとも言えます。
科学分野ではアメリカを代表する博物館のひとつ、スミソニアン博物館で展示品の3Dデータの無料配布が行われています。マンモスやトリケラトプス、スペースシャトルなどの展示品の3Dデータを...