『ビームスジャパン 銘品のススメ』(BEAMS JAPAN)という書籍が手元に届いた。帯に付されている「銘品」の数々がポップでチャーミング。開業5周年を迎えた「ビームス ジャパン」の軌跡が綴られている。ビームス ジャパンでディレクターを務め、本書の著者でもある鈴木修司さんの話を聞いた。
日本各地の魅力的な銘品を紹介する
鈴木さんとは5年ほど前に、「ニッポンの神ギフト」というプロジェクトを「ビームス ジャパン」で行った時、「ビームス ジャパン」のプロジェクトリーダーを担う佐野明政さんとともに、大変お世話になった。“日本のギフトのあり方を見直し、未来に向けたギフトの提案を行う”というテーマのもと、ブレストを重ねて商品を揃え、「ビームス ジャパン」でポップアップイベントを行ったのだ。印象に残ったのは、お二人の発想力と行動力だ。「こんなものがあったら面白い。お客さんが面白がってくれる」という視点のもと、アイデアを次々と出し、コンセプトが固まってくると実行に向けて進む。
「ちょっと無理かも」と思うことでもぐんぐん取り組んでいく。時間の余裕がほとんどなかったにもかかわらず、オリジナルのキャラクターを付した商品までつくってしまったのに驚いた。しかもそこに、心配する気配やネガティブな空気が全くなく、手間暇かかるのにやっていることを楽しんでいる。面白いことを実行していくこと、つくり手と使い手を結ぶこと、そこに創造的な工夫を凝らすことが大好きなんだと感じ入った。
その鈴木さんが、この5年間の軌跡をまとめたのが『ビームス ジャパン 銘品のススメ』だ。バイヤーとして日本の産地を駆け巡り、「見過ごされてきたモノ、本当は良いモノなのに正統な評価を受けてこなかったモノ、まだまだ知られていないモノ」を紹介しようと、各都道府県の銘品をひとつずつ取り上げ、世に送り出した経緯を綴っている。
使い手の視点をもって つくり手とモノづくりする
たとえば、滋賀県甲賀市を産地とする「信楽焼たぬき」は、3年ほど前に手がけ、今にいたるまでロングセラーになっているもの。鈴木さんは、「たぬき」の存在を小さい頃から知ってはいたが、あまり良い印象を...