米どころ新潟で育ったこともあり、白いゴハンは少し特別な存在だ。だからだろうか、「青天の霹靂」のネーミングとパッケージが気になっていた。ブランドとして成長していくのを見聞きし、デザインが地方のブランドづくりに与していると、話を聞きにいった。

「青天の霹靂」のパッケージ。

ブランドデビュー2年目に放映したテレビCM。

グラフィック広告。
掲げたゴールは「青森再誕生」。
インタビューしたのは、サン・アドのコピーライター 大友美有紀さんとアートディレクター 白井陽平さん。はじまりは、青森県がブランド米を誕生させる競合プレゼンテーションにサン・アドが参加したことだった。地方のブランドづくりのプロジェクトというと、地元の広告会社やクリエイターが関わるものか、東京の“先生”に依頼するケースが多いから、これは異色と言えるだろう。
課題は、青森県で初となる「特A評価」を目指す最高級のブランド米を世に知らしめることだった。プロジェクトを率いた青森県の三村申吾知事は、新潮社の文芸編集部にいた経歴の持ち主。外部との付き合いが広く、クリエイティブへの理解がある。競合プレゼンテーションの結果、サン・アドチームが指名され、2014年、プロジェクトはスタートした。
掲げたゴールは「青森再誕生」。米のブランド化だけではなく、まだ知られていない青森県の魅力を含め、伝えることをトータルで提案したという。「何度か訪れ、緑が深く、原始的な力が働いている地であり、独自の魅力を備えていると感じました」(大友さん)。お米の背景にある地元の独自性を発信することに注力した。
「青天の霹靂」という名前を最初に聞いた時、「えっ、お米の名前?」と驚いたのを覚えている。どんな経緯で生まれたのか──公募で集まった1万1000を超える名前の中から、有識者チームが選んだという。サン・アドは選定のための指標をつくった。周辺エリアのブランド米には、北海道の「ゆめぴりか」、秋田の「あきたこまち」、山形の「つや姫」、新潟の「コシヒカリ」などがある。指標には、これらと異なる独自性を立てることが肝要という内容を盛り込んだ。
“明るい青森”を表現しようと考えた
他ブランドが、もっちりした食感と甘い味わいを特徴とするのに対し、青森の米は、さっぱりした甘すぎない味を持っている。また、他ブランドの名前は割合と女性的なので、こちらは男性的なイメージに寄った方が良いのでは──そんな議論を重ね、最終的に...