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グッドデザイン大賞は富士フイルム「結核迅速診断キット」に

グッドデザイン賞

2019年度グッドデザイン賞(主催:日本デザイン振興会)は、「大賞」「金賞」「グッドフォーカス賞」の受賞結果を発表した。

2019年を象徴するデザインである「グッドデザイン大賞」を受賞したのは、富士フイルムの「結核迅速診断キット」。

結核で死亡する人は、世界で年間160万人。HIV感染者の一番の死因でもある。これはこうした結核罹患の可能性が高い人々の診断を可能にする結核診断用検査キットで、開発途上国を中心に展開されている。本キットは写真現像の「銀増幅技術」を応用し、尿中の僅かな成分から結核菌の存在を判定することで、早期治療に繋げることが可能となった。また、電源や装置を用いない簡単確実な検査を実現した。

本年度グッドデザイン金賞に選ばれた19件のうち、大賞候補となったファイナリストは「結核迅速診断キット」を含めて5件。この中から、本年度グッドデザイン賞審査委員とグッドデザイン賞受賞者、受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2019」の来場者による投票を実施して、最多票数を得た「結核迅速診断キット」に大賞が決定した。

富士フイルムデザインセンター 大野博利さんは、「写真フィルムや『写ルンです』などで培って来た技術で作った診断キット。『写ルンです』のように思い出を残す技術が、今度は誰かの命を守る技術に姿を変え、世の中の役に立つストーリーが皆さんに共感されたことを嬉しく思います」と受賞の喜びを語った。富士フイルムは今年、金賞にも4件選ばれ、本年度のグッドデザイン賞の受賞はトータルで32件になる。

柴田文江審査委員長は、「今年も審査のテーマは共振と美しさ。素晴らしい仕事がたくさん入賞した富士フイルムの中では、とんでもない共振が起きているのではないかと思いました。今回の大賞受賞作品は、富士フイルム本来のドメインから大きなうねりを作ったプロジェクトだったと思います」と評した。

齋藤精一副審査委員長は「今回素晴らしいと思ったことの一つが、若手から重鎮まで一緒になって共振を起こそうとし、持っている技術やIPを使って、今あるものをより良い形にすることに取り組んでこられた。共振を起こすのは、社内でも大変なことで、人や部署を説得し、それをチームで乗り越えて、こういうキットをつくられた。これは日本の企業が真似していくべき取り組みだと思います」と話した …

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