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EDITOR'S CHECK

坂本龍一『龍一語彙』、細野晴臣『Vu Jà Dé』他のデザイン

編集部が街で気になった様々なデザイン

BOOK
坂本龍一『龍一語彙 二〇一一年―二〇一七年』

(角川書店)

  • D/長嶋りかこ
  • 撮影/坂本龍一
  • 文/吉村栄一
  • 編集+文/伊藤総研
  • 監修+協力/空里香

『龍一語彙』は、2011年から7年間に坂本さんが発した言葉を集め、「龍一的語彙」と「一般的語彙」を加えて解説したもの。300語以上が納められ、本の厚さは40mmにも及ぶ。「いかに読みやすくも辞書らしい体裁にするかがテーマでした」と、デザインを手がけた長嶋りかこさん。

あふれんばかりの語彙が詰まっていることを表現すべく、大きくはみだしたタイトルには『広辞苑』でおなじみの秀英体を。カバーには、辞書でよく見る革のような質感の紙「シルバーボード」のブルーグレーを使用している。この色は、長嶋さんが同じくビジュアルを手掛けた映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』の写真の色と連動させている。

語彙の間には、版面ぎりぎりまでレイアウトされたインタビューページを、断続的に掲載。そして、坂本さん自らが撮影した写真も差し込まれている。本文の語彙とのかけ算でイメージが膨らみそうなものを、7年間の膨大な数の写真の中から長嶋さんが選んだ。「写真も、インタビューページも、読んでいる人に別のリズムを与えるので、語彙本の異化効果につながれば」。完成後、坂本さんはこのインタビューページのレイアウトとリズムを「本の中で一番気に入っている」と話してくれたそうだ。

CD
細野晴臣『Vu Jà Dé』

(ビクターエンタテインメント)

  • AD/岡田崇

細野晴臣さんの新作『Vu Jà Dé(ヴ・ジャ・デ)』は、1940~60年代の名曲カバー集と未発表曲やレア音源などのオリジナル集による2枚組。細野さんからデザインを手がけた岡田崇さんへのリクエストは、「ハードボイルド」「世の中、楽しいことばかりじゃないよ。ということで、ちょっと怖い要素もほしい」。さらに鏡に映ったポートレイトが送られてきた。そこで、岡田さんは「1940~50年代のレコードジャケットやフィルムノワールをイメージしながら、細野さんの音楽と同じように古いような新しいような、見たことのあるような無いようなデザイン」を考えた。

細野さんは毎回、作品を解説する副読本であるブックレットの制作に力を入れている。「ブックレットのCDサイズという限られたスペースに対する文字組のバランスに、いつも悩まされます」という岡田さん。

今回は文字をより大きくレイアウトできるように、ブックレットをジャケットに直接貼付。資料も写真も豊富に使い、「音楽を聴きながらブックレットを見たときに楽しく、未知なる音楽への興味を広げてもらえるものにしたい」と考えた。また2枚組のCDではディスク2がはずれやすいため、プラスチックではなく紙製のトレイを使用。音楽以外の部分にもファンへの細かい配慮がなされている ...

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