編集部が街で気になった様々なデザイン
BOOK
『Sakiko Nomura:Ango』
(bookshop M)
- 造本/町口覚
英語版、ドイツ語版が先行発売されていた写真集『Sakiko Nomura:Ango』の日本語版が刊行される。これは、1946年に発表された坂口安吾の短編小説『戦争と一人の女』に、写真家・野村佐紀子が撮影した写真作品を加え、新たに編集・造本したもの。本書は、初版時にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の検閲で大幅に削除されたが、今回無削除版含め、初めて英訳・独語訳された。
この本は、表表紙と裏表紙の小口側端部が互いに逆向きの傾斜を有する台形状になっている。「戦争に対する安吾のひねくれた目線を表現してみたかった」と、造本を手がけた町口覚さん。製本段階で束の背の真ん中部分だけを糊付けし、その状態で束全体にグッとひねりを入れることによって表出された形状で、「ツイストハードカバーブックバインディング」と名づけられた。
それぞれのページの台形の角度に合わせて、文字組を決めているため、独特の形状ながら文章を読むときに違和感はない。また、オフセット印刷だが写真部分だけを先に刷り、後から文字部分の各言語を刷るというオンデマンドに近い方法を採用。企画から印刷、造本まですべてが、これまでの本づくりの常識を覆している。
LOGO
新潟開港150周年記念事業
- 企画制作/新潟博報堂+博報堂
- CD/山下納帆美
- AD/谷本尚子
- C/志水雅子
- マーケティングコンサルタント/山口綱士
- AE/杉原孝行
新潟市は今年6月に、開港150周年記念事業のロゴマークを発表した。みなとまちのイメージが薄い新潟市だが、安政の五カ国条約により開港五港の一つに指定され、1869年1月1日に佐渡夷港(現在の両津港)を補助港として開港。横浜、函館、長崎、神戸に続き、2019年1月1日に150周年を迎える。そこで、新潟市は新潟開港150周年を新しい新潟を切り拓くスタートの機会として位置づけ、記念事業に取り組んでいく考えだ。
そのシンボルとして発表されたのが、黄色いリボンと青いストライプが特徴的なロゴマークと「Starting port」というキャッチコピーだ。制作に携わったコピーライター 志水雅子さんとアートディレクター 谷本尚子さんは、「このロゴとキャッチコピーは、これから市民と一緒につくっていく運動体と共に機能していくもの。未来や可能性を示すシンボリックなものにしたかった」と話す。
リボンは海と川の交わり、新たに新潟を訪れる人と地域の人との交流など、さまざまなものが出会い、交わりながら広がっていくイメージ。さらに未来を照らす灯台のサーチライトを重ね、3本の水色の線は信濃川、阿賀野川、日本海を表現している ...