編集部が街で気になった様々なデザイン
BOOK
最果タヒ
『ことばの恐竜』
(青土社)
- 装丁/三重野龍
詩人・最果タヒさんの対談集『ことばの恐竜』は、表紙から立ち上がってくるようなタイポグラフィが目を引く。「依頼を受けたとき、このタイトルである理由を自分なりに考えてみました。原始的、初期衝動など、いろいろと想像を膨らませたのですが、対談相手が作詞、詩、セリフ、歌などことばを扱う人たちなので、“ことばの猛者(恐竜)”を表現しているのかなと思いました」と、デザインを手がけた三重野龍さん。
ボコボコとした手触りのオレンジの紙は、かぐや満月130kg。タイトルの恐竜から来るプリミティブなイメージに、この質感が合うと思い選択した。当初はマグマや太陽を思わせる赤で考えていたが、検討を重ねる中でオレンジに落ち着いた。
デザインの核になったのは、恐竜から連想した化石のイメージ。カバー、表紙の表1と表4には人の背中を思わせるラインが描かれており、開いたときにそれらが向き合うように配置されている。「これは人が向き合って、ことばを交わしている状態の化石のイメージ。人は恐竜の化石を見て、その時代の環境や生態を想像しますよね?それと同じように、このカバーを見た人が何かを想像してくれたらいいなと思います」 ...