編集部が街で気になった様々なデザイン
BOOK
山下陽光『バイトやめる学校』
(タバブックス)
- 装丁/惣田紗希
- アートワーク/山下陽光
タバブックスの新しい読み物シリーズ「シリーズ3/4(よんぶんのさん)」は、文字量、本のサイズや重さが従来の3/4程度。帯はつかず、裏表紙に本文の一説が記されている。「見返しは入らず、表紙には質感のある色紙タントを使っています。今後、タイトルごとに色を変える予定です」と、このシリーズの造本と装丁を手がけた惣田紗希さん。
第1弾『バイトやめる学校』のタイトルは著者であり、ハンドメイドファッションブランド「途中でやめる」を主宰する山下陽光さんが自らミシンで縫ったもの。「『途中でやめる』の服にも文字をミシンで縫ったりしているので、表紙でもタイトルの文字を縫うのはどうかと、山下さんに提案していただきました」。
表紙のビジュアルは、作家ごとに相談する。今回、同時に刊行された『あたらしい無職』ではイラストを使用。本文のフォーマットも基本的には同じだが、内容に合わせて調整し、書体も変えている。「この2冊はテーマとして通じるところがあるので、店頭で並んだときにお互いに補完しあい、より伝わることを意識してデザインしました」。ユニークな装丁と内容が注目を集め、『バイトやめる学校』は早々に重版が決定した。
CD
ハンバートハンバート『家族行進曲』
(SPACE SHOWER MUSIC)
- 企画制作/サン・アド
- CD/岩崎亜矢
- AD/白井陽平
- 撮影/上原勇
男女のデュオ、ハンバートハンバートのジャケット、PVなどのビジュアルは、2014年からコピーライター 岩崎亜矢さんとアートディレクター 白井陽平さんを中心とするサン・アドチームが手がけている。「ほっこりしたフォークデュオと捉えられがちですが、彼らの歌には優しい目線だけではなく、もっと尖りがある。2人が本来持つその芯にある部分をきちんと伝えていきたいと常に考えています」と、岩崎さん。
家族をテーマにした新作のジャケットは、紫色の写真に手描き文字。そして、2人の自然な表情をとらえた写真が印象に残る。「これはライティングテストのときに撮影したもの。その後の撮影では、カメラを向けると、2人が構えてしまい、最初に撮った素の表情が一番2人らしいと思って選びました」(白井さん)。
歌詞はすべてがハッピーというわけではなく、さまざまな家族のドラマが描かれている。その複雑さを持つ楽曲を聴いた岩崎さんは「愛は恋より、腹が立つ。愛は恋より、泣けてくる。」というコピーをCDの帯に書いた。白井さんはその激しい部分を、タイトルの描き文字に込めた。
PVは東京で2020年までに無くなる街で歌う2人を撮影。ジャケットとは違う表現だが、2人の芯の強さがどちらからも感じられる ...