クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。今回は、さまざまなものづくりのプロジェクトに参加している永田宙郷さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。
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『熊を殺すと雨が降る 失われゆく山の民族』
遠藤ケイ
(ちくま文庫)
さまざまなものづくりをイラストと軽快な文章でアーカイブする遠藤ケイさんの本は、僕にとってものづくりが持つ知恵を知り、紐解くためのガイドブックです。
僕は各地の伝統技術から新素材まで、多くのものづくりに触れる機会が多々あります。
藍染めの甕に手を入れ染料を舐めたり、火花を浴びながら刃物の完成を見届けることもあれば、時には白衣を着て実験室のような空間で初めて世に出る新素材と対面することもあります。
そんな中で気づいたことは、よいものづくりはその新旧にかかわらず、引き継いできた部分とチャレンジした部分がバランス良く混じり合っているのです。
そんなものづくりに出会う度に、この本を思い出しながら、自然に畏敬を抱きながら生き、ものづくりを引き継いできた歴史と覚悟の多くのことを思い出します。
そして、時間と技と思いがミルフィーユみたいに重なったものづくりをどう繋ぎ紡ぐべきなのか僕なりに考え、挑み続けたいと思うのです ...