アイデアが溢れ、社内外との共創が行われるワークスペースづくりは、多くの企業が取り組むテーマだが、実現は容易ではない。数多くのイノベーションセンターを設計する建築家の視点とは。
「大きなワンルーム」で皆が働く
小堀哲夫建築設計事務所の小堀哲夫さんは今年、日本の建築史上初めて、日本を代表する建築賞「日本建築学会賞」「JIA日本建築大賞」を同年内にダブル受賞した。
受賞作は、浜松市の自動車部品メーカーROKIの研究開発棟「ROKI Global Innovation Center ーROGICー」。天竜川に面した小高い丘の上に位置し、自社製フィルターでドーム状の屋根を覆っている。フィルターを通して天気や空模様の変化を感じられるほか、風も取り込むデザイン。小堀さんは「自然を包み込んだテントのような、大きなワンルーム」と表す。
内部は4層の棚田状になっており、視線が抜けて人の動きがよく見える ...
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