ここ1,2年、女性を登場させた広告で「炎上」が相次いでいる。ジェンダーの意識が世界的に大きく変わる中で、広告の表現にはどんな変化が求められているのか。ジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパンの調査チームに聞いた。
自信のなさでは世界トップクラス? 日本女性のインサイトを読み解く
ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)は、「グローバル女性指標-Women’s Index」プロジェクトの一環として、アジア9カ国を含む世界16カ国で7500人以上の女性を対象とした意識調査を2016年一年間かけて実施、発表した。
その結果明らかになったのは、日本人としては『ゆゆしき』 事態とも言うべき、世界からかけ離れた日本女性の意識だったという。例えば、世界の70%以上の女性が、「今の時代ほど女性にとってよい時代はない」と感じているが、日本の女性はわずか43%に留まっている(図1)。また、「私は配偶者・パートナーよりも強い野心を持っている」と答えた日本女性は、グローバルの56%に対してわずか半分の28%。アジアの平均からはさらに低い(図2)。
「女性らしさ」を何と捉えるかにも、大きな差があった。日本ではトップに挙げられるのが「優しさ」と「母性」だが、他国の女性たちが女性らしさとして挙げた価値は「自立」や「自信」だった(図4)。他に他国で高く、日本で低いスコアとして挙げられた項目は「情熱」「競争力」「大胆」「野心」だ。
この理由について、「日本企業特有の終身雇用と長時間労働」を同社では挙げる。ワークライフバランスの実現の可能性がなく、育児や介護は女性の役割だという社会認識が強いことが加わり、日本女性は他のアジア諸国の女性が普通に持つ希望や野心ですら持てないでいる、と分析する。
「成功する自信があるか」という質問に対しての答え(図3)も興味深い。日本女性のスコアはアジアの中で最下位。さらに日本女性の37%が …