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「あきらめない人の車いす」が生まれるまで

COGY

「COGY」は「足が不自由な人に足で漕いでもらうことで、リハビリ効果も見込める」というこれまでになかった発想の車いす。この車いすを普及させるため、ソーシャルスタートアップ、ベンチャーキャピタル、エージェンシーの3者が手を組んだ。

「あきらめない人の車いす」COGY。英BBCが選ぶ「The 10 most beautiful bicycles of 2016」や2016年度のグッドデザイン賞にも選ばれた。

イノベーティブだからこそ理解が得られないというジレンマ

「COGY(コギー)」は足でペダルを漕ぐことで動力を得る車いすだ。歩行が困難な人でも、どちらかの足を少しでも動かすことができればペダルを漕げる可能性があり、さらに早足で歩くレベルまでスピードが出るという。個人差はあるものの、下半身まひなど足に障害を持つ人が実際にCOGYを動かせることが証明されていて、結果、リハビリ効果が現れる人もいる。

このCOGYの前身である「Profhand」は、東北大学の研究室で開発された下半身まひ患者用のリハビリ用車いすだ。それを2008年に設立されたソーシャルスタートアップTESSが引き受け、広く歩行困難者用へと対象を広げ、さらにデザインを改良し、製造・販売を行ってきた。TESSでは、東北のスタートアップを支援するベンチャーキャピタルMAKOTOからの出資を受け事業を展開していたが、年間販売数は100~200台程度で、苦しい状況だったという。

その問題点は主に3つあった。1つ目は、コミュニケーション不足。「足で漕げる車いす」と言うだけで、メカニズムの説明を一切していなかったため、一体どんなもので、なぜ動かせるのかの仕組みや機能が十分伝わっていなかった。2つ目は信頼性の不足。「歩行困難者が足で漕ぐ」という一見矛盾する話が、説明不足やベンチャー特有の信頼感のなさとも相まって“まゆつば”だと思われやすかった。3つ目が、販路の少なさ。販路が開拓されていなかったため、人の目に触れる機会も、購入機会もおのずと少なくなっていた。

これらの問題を、主にコミュニケーションの側面から解決に導くためのパートナーとして、このプロジェクトに参加したのがTBWA\HAKUHODOだ。MAKOTOと縁あって知り合い、その投資先の1つであるTESSについて相談を受けたのがきっかけだった ...

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