アイデアとは新しい組み合わせである
『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)を初めて手にしたのは、美大受験の予備校に通っていたとき。同じ予備校で尊敬していた友人に。この本いいよ」と薦められたのがきっかけです。その友だちはアートやデザインに詳しいだけではなく、流行の半歩先を颯爽と走っているような人。感度が高く知的で、今から30年以上前に「デザインは表層的なものではなく、経済も動かす」といった話をしていたほどです。そんな友人がすすめるなら間違いないだろうと、買ってみました。
デザインの見方
私はデザイナーとして王道を歩んできたわけではありません。デザイナーになろうと本気で動き出したのは、大学4年のとき。このまま就職するのではなく、子どものときから好きだったデザインを、仕事としてきちんとやってみたい――。そこで大学卒業後、デザインの専門学校に入学し、Macの使い方や基礎を学びました。
最初の仕事場である新村デザイン事務所に入社したのは、専門学校の卒業間近に作品を見てもらったことがきっかけです。その中にトレーシングペーパーを使った作品があり、それに目が留まり採用されたのです。
入社後すぐに始まったのが、資生堂の化粧品ブランド「INOUI ID(インウイ・アイディー)」の仕事。資生堂宣伝部の澁谷克彦さんがアートディレクターを務め …