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「鉄道」を丸ごとブランディングする100周年プロジェクト

「デザインブランドアッププロジェクト」相鉄グループ

神奈川県を走る大手私鉄の相鉄グループが、2017年に迎える創業100周年に向けて「デザインブランドアッププロジェクト」に取り組んでいる。クリエイティブディレクターを務めた水野学さん、丹青社の洪恒夫さん、相鉄ホールディングスの鈴木昭彦さんに話を聞いた。

9000系リニューアル車両写真
横浜をイメージしたカラー「ヨコハマネイビーブルー」で車体全面を塗装した。

トップ主導ではじまったブランディングプロジェクト

鈴木昭彦(すずき・あきひこ)(左)
1974年愛知生まれ、横浜育ち。1996年に相模鉄道に入社。相互直通事業の立ち上げ等に携わる。現在は相鉄ホールディングス経営戦略室でグループ全体のブランド戦略を担う。
水野学(みずの・まなぶ)(中)
クリエイティブディレクター/クリエイティブコンサルタント/慶應義塾大学特別招聘准教授。1972年東京生まれ。98年good design company設立。ブランドづくりからロゴ、商品企画、パッケージ、インテリアデザイン、コンサルティングまで行う。
洪恒夫(こう・つねお)(右)
1960年横浜生まれ。1985年に丹青社入社、ミュージアム、テーマパーク、博覧会、展覧会等幅広い分野の施設デザイン、プロデュースを手がける。2002年より東京大学総合研究博物館教員を兼務(現在特任教授)。

濃紺に塗装されたシックな車両、本革を採用したボックスシート、ダークグレーをキーカラーに一新した駅舎…今年に入ってから相鉄線に続々と大きな変化が起きている。いずれも相鉄グループが創業100周年記念プロジェクトとして位置づける「デザインブランドアッププロジェクト」の成果だ。このプロジェクトが始まったきっかけは、相鉄のトップの強い思いだったという。「鉄道会社として必要な安心、安全のための視点は徹底されていても、駅や車両、制服と言ったお客さまとのコミュニケーションの接点は相鉄グループのブランドイメージを左右する大きなツールであり、まだまだブラッシュアップの余地がある、と常々感じていたことが、このプロジェクトの立ち上げにつながりました」と相鉄ホールディングス経営戦略室ブランド戦略担当の鈴木昭彦さんは話す。

プロジェクト立ち上げには、もうひとつ背景がある。相鉄線は2019年度にJRと、2022年度に東急線との相互直通運転が決まっており、近い将来、開業以来初めて、都心で相鉄線の車両が走ることになるのだ。そのため、東京に乗り入れた時に相鉄だとわかってもらえるような他社との差別化をはじめ、相鉄線のブランドイメージをつくりあげる必要に迫られていた。ここから、駅や車両、駅員の制服など、沿線利用者の目に入るすべてのものを刷新する方針が決まり、コンペ形式でクリエイターを指名することになった。

長年、相鉄グループの駅や商業空間などの仕事を手がけてきた丹青社のプリンシパルクリエイティブディレクター洪恒夫さんは、このコンペに参加するにあたり、協働するアートディレクターを探していた。「当社はこれまで駅舎や駅ナカの空間は手がけてきましたが、車両や制服は専門外でした。それにこのプロジェクトはデザインでブランドをコントロールすることが求められるので、そのアートディレクターに誰を立てるかが重要なポイントでした。そこでプロダクトも含め、トータルでクリエイティブディレクションをされてきた水野学さんに『一緒にチームを組んでくれませんか』と声をかけたんです」。

依頼を受けた水野さんはこれを快諾。「僕は地元が神奈川県なんですが、お話をいただいて改めて考えてみると、相鉄線っていいも悪いも含めてイメージがない。それが実は宝の山なんじゃないかと思いました」。2人はコンペで求められている「デザイン構想書」の制作からスタートした。洪さんは「駅、車両、制服の3つの核となる明快なコンセプトをつくるために、相鉄線のエレメントである『鉄道会社』『横浜』などのワードを探りながら、議論をすることからはじめました」と振り返る。

相鉄が多数のコンペ案から洪・水野案を選んだ理由は …

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