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宇宙ベンチャーと企業のタッグで挑む月面レース

au×HAKUTO MOON CHALLENGE

世界初の民間による月面探査レースに挑戦するチーム「HAKUTO」。2017年の打ち上げに向け、KDDIをはじめとするスポンサーと共に「月面探査」という夢に近づいている。その背景には、広告会社ならではのベンチャー支援の形があった。

宇宙ベンチャーに10億円のスポンサー料をつけるには?

HAKUTOチームの集合写真。

「HAKUTO」は世界初の民間による月面探査レースに挑戦するための日本のチームである。月面探査レースの名前は「Google Lunar XPRIZE」。このレース開催が世界の参加チームに課したミッションは次の3つだ。1.月面に純民間開発ロボット探査機を着陸させること。2.着陸地点から500メートル以上移動すること。3.高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること。この国際賞金レースに世界から参加する16チームのうち、日本からの唯一の参加チームがHAKUTOである。アポロから約50年。実現すれば、世界で民間初の快挙となる。

「ローバー」と呼ばれる月面探査ロボットを開発し、月へたどりつくには、2つの側面で課題を克服していかなければならない。それが「技術」と「資金調達」だ。どちらが足りなくても宇宙への夢はついえてしまう。宇宙に行くには開発費用、打ち上げ費用、人件費などあらゆる面でコストがかかる。ローバーの重量を1キロ削減すれば、1.2億円以上の打ち上げ費の削減につながるという話からも、宇宙開発にかかるコストの膨大さが想像できるだろう。現在HAKUTOのローバー開発のポイントとなっている小型軽量化や民生品(オリジナル開発ではない既存の部品)の活用も、打ち上げ費の削減が目的だ。その上で、宇宙環境下で耐えうる耐振動や耐熱、通信、電力、耐放射線、レースに必要な走行性やカメラなどの機能をもれなく備えることが求められる。

これらを実現するのに必要な金額としてHAKUTOが見積もった金額が「10億円」。HAKUTO代表の袴田武史さんは、それまで投資家からの資金調達を進めてきたが、それが一通りの目途がつき、次なる資金調達の手段としてスポンサー獲得に本腰を入れることにした。その推進役として白羽の矢が立ったのは、HAKUTOチームメンバーである電通のクリエーティブ・テクノロジスト 米澤香子さんだった。

「プロボノ集団」という顔を持つ宇宙開発チーム

HAKUTOローバーフライトモデル。レースに参加する世界各国の16チームの中でも世界最小最軽量の惑星探査ローバーとなっている。

昨年10月に出稿したHAKUTOの新聞広告「証明しよう。」篇

なぜ、電通のクリエーティブ・テクノロジストがHAKUTOのチームメンバーにいるのか。ここで、HAKUTOというチームの独自性について解説を加えておこう。HAKUTOのメンバーは現在約80人いるが、特徴的なのはその組織形態である。

HAKUTOは袴田さんが代表を勤める宇宙ベンチャー企業「ispace」と東北大学の吉田和哉教授の研究室、そしてプロボノ(専門スキルを生かしたボランティア)メンバーの3つの柱から構成されている。プロボノメンバーは宇宙関連以外の視点やスキル(財務や法務、PR、営業、デザインetc.)も持ったプロフェッショナルメンバーで …

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