デザイン・アート・広告賞今月の展覧会&コンペティション
ルーヴル美術館特別展
「ルーヴルNo.9~漫画、9番目の芸術~」
松本大洋「ルーヴルの猫」(仮)/ビッグコミックオリジナル
「岸辺露伴ルーヴルへ行く」荒木飛呂彦
©LUCKY AND COMMUNICATIONS/集英社
2005年にスタートした「ルーヴルBDプロジェクト」は、フランス内外の著名な漫画家たちにルーヴル美術館をテーマに作品を描いてもらい、より多くの人々に美術館の魅力を伝えようというもの。このたび日本人3人目となる松本大洋の参加が決定し、作品の一部が公開された。本展では数百点におよぶ本プロジェクトの原画や資料をエキサイティングな演出と共に一挙公開する。
ルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9~漫画、9番目の芸術~」 | |
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森アーツセンターギャラリー |
大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで
重要文化財 伝土佐光信「百鬼夜行絵巻」(部分) 室町時代(16世紀)
京都・真珠庵蔵
国宝「辟邪絵 神虫」(部分) 平安~鎌倉時代(12世紀) 奈良国立博物館蔵
撮影=佐々木香輔
重要文化財「土蜘蛛草紙絵巻」(部分) 鎌倉時代(14世紀)
東京国立博物館蔵
Image:TNM Image Archives
妖怪は日本人が古くから抱いてきた異界への恐れや不安感、また身近なものを慈しむ心が造形化されたもの。本展では、縄文時代の土偶から、平安・鎌倉時代の地獄絵、中世の絵巻、江戸時代の浮世絵など、国宝・重要文化財を多数含む日本美術の名品、現代の妖怪ウォッチまで、日本人が恐れ、愛してきた妖怪たちの姿を紹介する。日本人が表現してきた妖怪のすべてがわかる、“妖怪展の決定版”だ。
大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで | |
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東京都江戸東京博物館 |
「乙女デザイン ―大正イマジュリィの世界」
高橋春佳 絵はがきセット
昭和初期 個人蔵
竹久夢二「涼しき装ひ」『三越』15巻第6号挿画
大正14年 個人蔵
イマジュリィとは、装幀、挿絵、絵はがき、ポスター、広告、漫画など大衆的な複製としての印刷・版画の総称。複製技術が発達した大正時代、誰もが自分のものにでき、手に取り間近に楽しめる印刷物は、美術を運ぶ容れ物として重要な意味を持つようになった。本展では、アール・ヌーヴォー様式の橋口五葉、アール・デコ様式の杉浦非水、竹久夢二の少女趣味の世界、さらに女学生の間で流行したお手紙道具に見られる当時の少女文化にも注目。大衆に浸透し絶大な人気を集めた約400点の「かわいい」商業デザイン、イラストレーションを紹介する。
「乙女デザイン ―大正イマジュリィの世界」 | |
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茨城県近代美術館 |
没後10年 ナムジュン・パイク展
2020年笑っているのは誰 ?+?=??
ニュー・キャンドル(1993年)
ケージの森/森の啓示(1993年)
「ビデオアートの父」として知られる20世紀最大の芸術家ナムジュン・パイクの没後10周年記念展が開催される。1963年に世界初のビデオアート作品を発表して以来、テレビを使ったアートの可能性を探り続け、また、最新技術を使った数多くのパフォーマンス作品を発表した。本展はワタリウム美術館コレクションより、パイクが最も活躍した70年代から90年代にかけての作品230点他資料を通じ、芸術家パイクの人間像や思想的背景を明らかにする。本展のタイトルは、パイクが1993年に同美術館カタログに寄稿した、2020年に笑っているのは誰かという大胆な予測にちなんでいるという。
没後10年 ナムジュン・パイク展 2020年笑っているのは誰 ?+?=?? | |
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ワタリウム美術館 |
角川映画の40年
『犬神家の一族』(1976年、市川崑監督)
ポスター©KADOKAWA
『セーラー服と機関銃 完璧版』(1982年)ポスター
©KADOKAWA
映画は、映画会社が作るもの――40年前、そんな常識に真っ向から挑み、日本映画の勢力地図を塗り替えたのが「角川映画」だった。巨匠市川崑監督を迎えた『犬神家の一族』(1976年)を角川春樹社長のもと映画、原作共に大ヒットさせ、その後もミステリーやハードボイルド小説を次々と映画化、映画と原作書、主題歌も含めたメディアミックスの広報戦略でヒット作を連打した。本展覧会では、日本社会にセンセーションをもたらし、今なお盛んな映画作りを続ける角川映画のこれまでの足どりを、当時の華やかな宣伝資料などを通じて振り返る。
角川映画の40年 | |
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東京国立近代美術館フィルムセンター |
鴻池朋子展 「根源的暴力 Vol.2 あたらしいほね」
皮緞帳(部分)(2015)牛革、クレヨン、水彩
撮影:中道淳(ナカサ&パートナーズ)
planet#1 first words(2013)ミクストメディア(FRP、スタイロフォーム他)
昨年の秋に6年ぶりの個展となる「根源的暴力」を開催した鴻池朋子。2011年3月11日の震災以降、制作を一旦停止し、さまざまな土地をめぐった。そこで触れた風土や人間のエネルギーを形にするかのように、牛革や粘土、裁縫など新たな素材と手法を取り入れた数々の作品を発表。特に皮を縫い合わせた支持体に天変地異、臓器、動植物を描いた24メートルにおよぶ《皮緞帳》は、観客の心身を奮わせ強く記憶に残るものとなった。本展ではさらに加筆され生々しく変容する《皮緞帳》に新作を交え、全く新たなインスタレーションに挑む。
鴻池朋子展 「根源的暴力 Vol.2 あたらしいほね」 | |
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群馬県立近代美術館 |
奈良原一高 作品展「消滅した時間」
「インナー・フラワー ばら・ティネケ」〈空〉より(1991年)
「アメリカ・インディアン村の二つのゴミ缶」〈消滅した時間〉より(1972年)
「Château de Sceaux Double Vision-Paris 2000-2002」〈天〉より(2000-2002年)
奈良原一高は、戦後日本を代表する写真家の一人。美術家の靉嘔(あいおう)や池田満寿夫らと活動していた1956年、初の個展「人間の土地」で大きな反響を呼び、個人の視点から描き出す新しいフォト・ドキュメンタリーで戦後日本の写真表現を切り拓いた。1960年代から80年代にかけ国内外を拠点に精力的に作品を発表。本展のタイトルは1970年から74年にアメリカで撮影され、1975年に出版された写真集のタイトルに由来する。このシリーズは奈良原にとって、写真家として生きていく自分を発見した作品であり、スケールの大きい時空間の表現は彼の真骨頂と言える。
奈良原一高 作品展「消滅した時間」 | |
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FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館 第二部『眺めの彼方 1970-2002』 |
BIB 50周年 ブラティスラヴァ 世界絵本原画展
―絵本の50年 これまでとこれから―
BIB2015 金のりんご賞受賞 ミロコマチコ 《オレときいろ》
©mirocomachiko
BIB2015 グランプリ受賞 ローラ・カーリン 『あなたがつくる世界』
©Laura Carlin
スロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで開催されるBIB(ブラティスラヴァ世界絵本原画展)は、芸術性の高い作品や、実験的でユニークな作品が集まる国際コンペティションとして知られている。本展では、創設50周年の節目を迎えた同展への歴代参加作品の中から「戦後日本の絵本の歴史 50年」を振り返り、BIBがその発展に果たした役割を検証する。後半は、昨年開催された「BIB 2015」の受賞作品を中心に、絵本とイラストレーションの最新動向紹介する。
BIB 50周年 ブラティスラヴァ 世界絵本原画展 ―絵本の50年 これまでとこれから― | |
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うらわ美術館 |
映画誕生120年記念 野口久光 シネマ・グラフィックス展
野口久光《映画ポスター『大人は判ってくれない』》1960年日本公開
©HisamitsuNoguchi
野口久光《映画スターポートレイト オードリー・ヘプバーン》1993-94年
©Hisamitsu Noguchi
戦前、戦後の映画の黄金時代、東和商事(後の東宝東和)で約30年間、1000枚以上にのぼる映画ポスターを描き続けた野口久光。タイトル文字や俳優の名前まで手描きで書き込まれたそのポスターは、作品の雰囲気、内容を的確に表現した「一枚の絵画」としての魅力にあふれている。本展では、野口が手がけた公開当時のポスター、直筆による映画スターのポートレート、書籍・雑誌など装丁デザインのほか、ジャズのレコードジャケットなど約400点におよぶ作品・資料などを通じ、その魅力をたっぷり紹介する。
映画誕生120年記念 野口久光 シネマ・グラフィックス展 | |
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岩手県立美術館 |
アルバレス・ブラボ写真展 メキシコ、静かなる光と時
《舞踊家たちの娘》1933年
《フリーダ・カーロ》1937年頃
《リュウゼツランの上の窓》1974-76年 マヌエル・アルバレス・ブラボ・アーカイヴ蔵
©ColetteUrbajtel/ArchivoManuelÁlvarezBravo,S.C.
20世紀写真史に大きな足跡を残したメキシコの巨匠、マヌエル・アルバレス・ブラボ。革命の動乱を経て、壁画運動や前衛芸術が盛り上がりをせた1920年代末に頭角を現し、最晩年の1990年代末に至るまで、一貫して独自の静けさと詩情をたたえた写真を撮り続けた。本展はモダニズムの写真表現に挑戦した瑞々しい初期作品から、亡命した著名人や芸術家たちのポートレート、最晩年の作品まで、192点のモノクロプリントと多数の資料を、年代順に展示する。国内最大規模の本格的な回顧展となる。
アルバレス・ブラボ写真展 メキシコ、静かなる光と時 | |
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世田谷美術館 |