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私のクリエイティブディレクション論

シンプル、明快、そして精密な表現が理想

久保雅由

東京メトロやENEOS、オムロンなどこれまで企業広告を多く手がけてきた電通の久保雅由さん。テレビCM を伴うマスキャンペーンであっても、ポスターは別表現にして出し分けるなど、丁寧な表現の作り込みが印象に残る。その背景には、アートディレクター出身のCD ならではのアウトプットへのこだわりがあった。

久保雅由(くぼ・まさよし)
1990年電通入社。現在第4CRP局 クリエーティブディレクター/アートディレクター。これまでの主な仕事に東京メトロ「Color your days」「メトロは、すすむ。すすめる。」シリーズ、ENEOS「エネゴリくん」シリーズ、ユニクロ ボクサーブリーフ、ベネッセ BenePa、JR東日本 Suicaロゴマーク&ローンチ、トヨタ自動車 LEXUS日本開業ローンチなど。ADC賞、新聞広告賞、日経広告賞、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞、ロンドン国際広告賞、アドフェスト、NY フェスティバルほか受賞多数。

——久保さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

1990年に電通にアートディレクターとして入社して、最初に配属されたのは4CD局。そこには大島征夫さんや佐々木宏さん、佐藤雅彦さん、白土謙二さん、岡康道さん…というそうそうたる顔ぶれのメンバーが在籍していました。2005年にCDになったのですが、こうした大先輩方のことを考えると、自分にとってCDになることのハードルは非常に高いものでした。

僕にとってCDとは、肩書きや役職ではありません。先輩方を見ていてわかったのは、CDは一番考えていなければいけない人であるということです。誰よりも考えているからこそ、「そこが足りないよ」と現場のスタッフに指摘できる。4CD局の先輩方は、とにかく要求するハードルが高かった。案を出すと「そのどこが面白いのかを説明しろ」と言われるわけです。その段になって、そこまで思いが至っていなかっことや、考えが表面的だったことに気づく、ということの繰り返しで鍛えられました。

ただ同時に、どの人もずっと一緒に考えてくれるCDである、ということも共通していました。案を出した後は「じゃ、それで考えてきて」で終わることはなくて、その先も「何が本当にいいアイデアなのか?」「この中から選ぶならどの案か?その理由は?」と付き合って考えてくれた。そういう姿を見て育ったから、自分もなるべくそうであろうと心がけているつもりです。まあ、言うのは簡単でも …

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