「がんばる母さんやめました」自分らしさを探る「卒母」の考え方
『卒母のためにやってみた50のこと』(大和書房)という本に出会い、ページを繰り出したら止まらない。手書きの文字とイラストで構成されているたたずまいもユニーク――著者でありグラフィックデザイナーの田中千絵さんに話を聞いた。
デザインプロジェクトの現在
“フードクリエイション”を行っている諏訪綾子さんの仕事が、以前から気になっていた。“フードクリエイション”とは何なのか、諏訪さんは何を表現しようとしているのか、お話をうかがった。
諏訪さんのユニークな活動を知ったのは、アートディレクターの友人からの情報だった。独自性と創造性の高いパフォーマンスやイベントは、国内に留まらず海外からも注目されている。強い興味が湧いてきて、期待に胸膨らませてお会いした。格子柄がモダンなレースのブラウスに、タイトなスカートで現れた諏訪さんは、冴え冴えとした美しさと、優雅な物腰が身についた方、既にして、ただ者でないような雰囲気が漂っている。アーティスティックな“フードクリエイション”の活動は、諏訪さんという人の佇まいと見事に一致していた。
石川県羽昨市で生まれ育った諏訪さんは、幼い頃から、食の周辺に強い興味を持ち、さまざまな素材を調理して遊んでいたという。金沢美術工芸大学を卒業後、“フードクリエイション”という活動をスタートさせた。「食べることは生きること、あじわうことは進化すること」と諏訪さんはいう。これはどういうことだろうか。太古の昔から、人はさまざまなものを食べてあじわってきた。それは、空腹を満たす欲望だったり、美味しいという快楽を求める欲望だったり———。食は人間としての本能的な欲望と結びついている。諏訪さんが関心を抱くのは …