横浜、札幌で国際アート展が開催
ヨコハマトリエンナーレ2014
ヨコハマトリエンナーレ2014 札幌国際芸術祭2014
横浜市では今年で5回目を迎える「横浜トリエンナーレ」が、8月1日より開催。本年度はアーティスティック・ディレクターに森村泰昌さんを迎えた。本年度のタイトルは、「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」。森村さんは「ヨコハマトリエンナーレ2014は、人生のうっかりした忘れ物、人類の恒常的な忘れ物、現代という時代の特殊な忘れ物などを思い出すための、いわば「忘却巡り」の旅である」と話している。メイン会場となる横浜美術館と新港ピアを中心に、まるで本を読み進むかのように、ふたつの序章と11の挿話からなる「忘却の海」の漂流譚を展開。横浜美術館のエントランスに設置し、ヨコハマトリエンナーレ2014の最初を飾る巨大なゴミ箱「アート・ビン」を制作したマイケル・ランディほか、グレゴール・シュナイダー、メルヴィン・モティ、やなぎみわほか70名を超えるアーティストが参加する。
「都市と自然」をテーマに、7月19日から開催されている札幌国際芸術祭2014。札幌市内の7会場を中心に国内外の約60人・組以上の作家が参加している。主会場となる北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館の企画展示「都市と自然」では、それぞれの特徴と立地条件を活かした展示を行う。北海道立近代美術館では、岡部昌生による大規模な夕張炭鉱遺構のフロッタージュ作品に始まり、工藤哲巳、スボード・グプタ、アンゼルム・キーファー、畠山直哉、高谷史郎らの作品を展示。札幌芸術の森美術館では、中谷芙二子の霧の彫刻「FOGSCAPE #47412」が中庭に設置され、来場者を出迎える。さらに、宮永愛子による器を用いたサウンド・インスタレーションの新作「そらみみ・みそら(mine・札幌)」やカールステン・ニコライの巨大な新作映像作品「unicolor」も公開される。空間構成アドバイザーを青木淳と丸田絢子が手がけている。
札幌国際芸術祭2014
ヨコハマトリエンナーレ2014 | |
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「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」 |
8月1日~11月3日 横浜美術館、新港ピア(新港ふ頭展示施設) 10時~18時(入場は閉場の30分前まで)※8月9日(土)、9月13日(土)、10月11日(土)、11月1日(土)は20時まで開場。 第1・3木曜日休場 問い合わせ→03-5777-8600 ハローダイヤル |
札幌国際芸術祭2014 | |
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「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」 | |
開催中、9月28日まで。 主な会場は、北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)、北海道庁赤れんが庁舎、モエレ沼公園、札幌市資料館札幌大通地下ギャラリー500m美術館ほか 問い合わせ→ 011-222-4894 札幌市コールセンター |
ADCグランプリは葛西薫さんに決定
ADC 賞2014
東京アートディレクターズクラブが主催するADC 賞2014が発表となった。2013年5月から2014年4月までの過去1年間に発表、使用、掲載された、8715点の作品の中から、本年度のグランプリに選ばれたのは、葛西薫さんの「HIROSHIMA APPEALS 2013」のポスター、環境空間(ヒロシマ平和創造基金、広島国際文化財団、日本グラフィックデザイナー協会広島地区、リクルートホールディングス)。サントリー「ペプシ 桃太郎」のコマーシャルフィルムと接戦の結果、本作品がグランプリに選出された。多くの人の心をとらえたポスターであったこと、また「普遍の中にある大切なことを表現する」力が高く評価された。
この作品の制作について、葛西さんは次のように語った。「伝えるという意味では、普段の広告の仕事と同じだけれど、目的が異なり、平和について希求するという重いテーマ。取り組むときにとても緊張した。考えている中では前に進めないようなことがあったけれど、そういう時間を過ごしているうちに、本当の意味での平和とは何かを考える時間が訪れ、あの絵が生まれた。いまのデジタル化が進む時代に、ポスターがどれくらいの力があるのかわからない。でも自分としては久しぶりに絵を描く、印刷する、黒1色だけ使うなど、昔に返ったような感じもあり、伝えることの中心をもう一度見ることができたという思いがあります」。
2014ADC展は来年1月15日より、長野県にある市立小諸高原美術館・白鳥映雪館に巡回。本年度のADC年鑑は、11月に発刊予定。
受賞作品
ADCグランプリ
●ヒロシマ平和創造基金、広島国際文化財団、日本グラフィックデザイナー協会広島地区、リクルートホールディングス
「HIROSHIMA APPEALS 2013」(01)
ポスター、環境空間
葛西薫ADC賞
●市原市「市原湖畔美術館」(02)
CI、環境空間
色部義昭
●トヨタマーケティングジャパン「DRIVING KIDS with TOYOTA」(03)
新聞広告、コマーシャルフィルム
小島潤一、庄司輝秋、喜馬克治、前田知巳、フランチェスカ・ゲルマンディ
●INFASパブリケーションズ「CITYSCAPE」(04)
ポスター
小野勇介、鈴木崇史
●東日本旅客鉄道「行くぜ、東北。」(05)
新聞広告
八木義博、阪野貴也
●エイベックス・エンタテインメント「dビデオ」(06)
コマーシャルフィルム
中島哲也、小山佳奈
●サントリー「BOSS 贅沢微糖・黒の微糖」(07)
コマーシャルフィルム
真田敦、福里真一
●サントリー「3D on the Rocks」(08)
グラフィックデザイン&プロモーション
徳野佑樹、木村洋、佐藤カズー
●大塚製薬「カロリーメイト」(09)
ポスター
榎本卓朗、福部明浩、瀧本幹也
●あさ開、冨田酒造「Cup SAKE」(10)
パッケージデザイン
平野光太郎
●Maholo「Maholo」(11)
グラフィックデザイン
白本由佳
ADC会員賞
●サントリー「ペプシ 桃太郎」(12)
コマーシャルフィルム
多田琢、川口清勝 ※ADC制作者賞 井口弘一、岡康道
●リクルートホールディングス「第2回奥村祭り」(13)
ポスター
奥村靫正
原弘賞
●松永真デザイン事務所、ミカ製版「FREAKS」(14)
ブック&エディトリアル
松永真
近所に身を置きながら
地球につながる
鈴木康広展「近所の地球」
「まばたきの葉」「ファスナーの船」」など、日常のふとした発見をモチーフに、記憶を呼び起こし共感を生み出す作品を制作する鈴木康広。代表作品と新作によって構成される企画展「近所の地球」が始まる。
「近所の地球」は、彼の代表作「遊具の透視法」の愛称でもあり、自分の近く=近所に身を置きつつ、もっと大きなもの=地球につながろうとする彼の制作の基本となる考え方。それをベースに、美術館のスペースにとどまらずに地域や場所、空間を意識した活動を続けている。今回は水戸市の商店街で、水戸市街を新しい視点から表現した「パラパラマンガ商店街 in 水戸」も展開する。
鈴木康広展「近所の地球」 |
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開催中、8月2日~ 10月19日水戸芸術館現代美術ギャラリー 9時30分~ 18時(入場時間は17時30分まで)月曜休館(9月15日、10月13日は開館、9月16日、10月14日は休館) 入場料:一般800円、中学生以下無料 問い合わせ→029-227-8111 水戸芸術館 現代美術センター |
今夏は、日本SF大学校で学ぶ
日本SF展・SFの国
星新一、小松左京、手塚治虫、筒井康隆、真鍋博ら、日本SFの第一世代と呼ばれる作家たち。SFという表現を信じ、私たちに何を、どのように伝えようとしたのか、時代背景や多彩な資料から読み解く展覧会「日本SF展・SFの国」が開催中だ。
本展は、「日本SF大学校」に見立てた構成。日本SF概論に始まり、作家から特撮、アニメまで幅広く紹介するSF専門講義、そして浦沢直樹『20世紀少年』を多角的に考察する日本SF演習へと続き、日本SFにおけるさまざまな表現を知ることができる。会期中には、筒井康隆さんの朗読会、豊田有恒さんと夢枕獏さんの対談、浦沢直樹さんと難波弘之さんのトーク&ライブなど、イベントも開催される。
日本SF展・SFの国 |
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開催中、9月28日まで。世田谷文学館 10時~ 18時(入場は17 時30分まで)月曜休館(9月15日は開館、9月16日は休館) 入場料:一般800円 高校・大学生、65歳以上600円、中学生以下無料 問い合わせ→03-5374-9111 世田谷文学館 |
繊細でダイナミックなドローイング
黒田潔「線」
イラストレーター、アートディレクターとして活躍する一方、数多くのアートワークを発表する黒田潔の新作ドローイング展「線」が8月23日から始まる。
黒田が描くのは、幼少期から関心を持ち続けている動植物の世界。その絵は動物や昆虫が今にも動き出しそうな躍動感にあふれ、植物の持つエロティックでなまめかしい質感が描き出されている。繊細で綿密なタッチからなる作品は近年、アートの世界でも注目され、「舗装道路の消えた世界」はパリ装飾芸術美術館のパブリック・コレクションに収蔵された。
本展では、近年中心となっていた鉛筆を使用した精密な描写から離れ、黒田の原点ともいえる白黒のシンプルなタッチによる新作ドローイングを見ることができる。
黒田潔「線」 |
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開催中、9月28日まで。世田谷文学館 8月23日~ 9月23日 TETOKA 16時~ 23時 問い合わせ→03-5577-5309 TETOKA |
日本初公開を含む90点の展示
TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS
イラストレーションの分野で特異な才能を発揮し、90年代以降のサブカルチャーに大きな影響を与えてきた五木田智央の美術館初となる個展「TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS」が開催される。
本展では11点の最新作を中心に、2014年のMary Boone Gallery(ニューヨーク)、09年のHonor Fraser Gallery(ロサンゼルス)、10年のATM Gallery(ニューヨーク)で開催した個展において発表した大型作品を公開。さらに、これまで一度も公表されなかった30点1組のグラファイトによる素描シリーズが初めて展示される。
会期中には作家によるギャラリートークや五木田がCDジャケットを手がけたアーティストのライブも開催される。
五木田智央 TMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS |
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8月31日~12月24日 DIC川村記念美術館 9時30分~ 17時(入館は16時30分まで)月曜休館(9月15日、10月13日、11月3日、11月24日は開館、9月16日、10月14日、11月4日、11月25日は休館) 入館料:一般1200円、学生・65歳以上1000円、小中学生・高校生500円 問い合わせ→043-498-2672 DIC川村記念美術館 |
KIGIが手がけたプロダクトが結集
KIGI STORE
アートディレクター 植原亮輔と渡邉良重のキギによるポップアップストア「KIGISTORE」が表参道ヒルズに期間限定オープンしている。
ユニークな活動を続ける彼らが今年、琵琶湖周辺の職人たちと一緒に新たに立ちげたのが「KIKOF」というブランド。第一弾となるプロダクトは、信楽焼職人とのテーブルウェアである。グラフィックデザインがベースにあるキギらしく、紙で成型したような、非常に薄くシンプルなデザインが特徴だ。こちらは8月中旬からの発売に先駆け、キギストアで先行発売する。また、続いて木工職人と家具の開発も始まっている。
本展では「KIKOF」の器をはじめ、これまで彼らが手がけてきた、グラフィックとプロダクトを往来するアプローチから生まれたプロダクツが結集。沖縄のプロジェクト「流Q」の商品、「おやつキング」の醗酵おやつ、krukkuから誕生したコスメライン「reilu」など、キギがデザインを手がけたさまざまな商品を購入することができる。その他、長年携わる「D-BROS」のプロダクトや作品集などの書籍も販売予定だ。
KIGI STORE |
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開催中、8月17日まで。表参道ヒルズ本館 B3F OMOTESANDO HILLS POCKET 11時~ 21時(日曜日は20時まで、最終日は18時まで) 問い合わせ→03-3497-0310 表参道ヒルズ |
東京オリンピックの年に誕生したサン・アド
Orange!
株式会社サン・アド創立 50 周年記念展覧会
東京でオリンピックが開催された1964年、サントリー宣伝部出身者を中心に設立された制作会社サン・アド。今年、創立50周年を迎えたことを機に、「Orange! 株式会社サン・アド創立50周年記念展覧会」を、8月30日よりGallery916で開催する。
サン・アドの創立時のメンバーは、芥川賞作家の開高健さん、直木賞作家の山口瞳さん、アンクルトリスの生みの親である柳原良平さんたち。以後、サントリーウイスキーのPR誌「洋酒天国」の編集、トリスウイスキーのTVコマーシャル、ポスター、新聞広告などを多数制作してきた。その後、サントリー以外にもホンダ、ソニー、リクルート、西武百貨店など広告主の幅を広げている。
現在ではWebデザイン、パッケージデザイン、プロダクトに至るまで、同社の制作領域は多岐に渡る。近年の仕事としては、30年以上続くサントリーウーロン茶のCM、ユナイテッドアローズ、村田製作所、トヨタの企業広告、虎屋のパッケージデザインなど。創業以来、人間のおかしみや愛おしさ、人間を応援するクリエイティブ表現を制作し続け、現在に至る。本展では、そんなサン・アドの多岐に渡る作品群を50年のアーカイブをたどりながら、一堂に展示。サン・アドならではのクリエイティブを存分に堪能できるだろう。
Orange! 株式会社サン・アド創立50周年記念展覧会 |
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8月30日~9月6日 Gallery 916 11時~20時(9月5日は16時閉館) 入場無料 問い合わせ→03-5785-6800 サン・アド 片岡・伊比(いび) |