全世界220カ国以上でバイラルし890万回再生を超えたオートウェイ「雪道コワイ」。制作を手がけたのは、福岡を拠点とするBBDO J WEST 眞鍋海里さん。バンドマン、ウェブクリエイターを経てプランナーになったという経歴を持つ。
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眞鍋海里(まなべ・かいり)
BBDO J WESTコンテンツプランナー、インタラクティブプランナー。1982年 宮崎市生まれ。大学卒業後、タワーレコード、Webプロダクションを経て、08年外資系広告代理店BBDO J WESTに入社。
投稿動画を研究して生まれた映像
オートウェイは、北九州のタイヤ通販会社。これまでリスティングやバナー広告、トゥルービュー広告などを展開していた同社に、眞鍋海里さんが提案したのは「ユーザー発想の広告」。「一方的に情報を送るのではなく、ユーザーに求められるコンテンツをつくり、それを起点にコミュニケーションしていく」ことだった。Webクリエイターとして、コンテンツ制作に数多く携わってきた眞鍋さんにとって、これは自然な発想である。その提案は従来型の広告出稿に疑問を感じていたオートウェイに響き、「YouTubeで話題になる広告」の制作が進み始めた。
YouTubeで閲覧回数の高い動画は、アイドルやお色気もの、これまで見たことがないスケール感や美しさのある映像、そして怖いものみたさの衝撃映像と、大きく3つの傾向に分けることができる。企業との相性と予算を検討した結果、選ばれたのが衝撃映像だ。決まった瞬間、眞鍋さんの頭に思い浮かんだのが“閲覧注意”という言葉。そして、雪道が舞台のジャパニーズホラー。一般の人が投稿したかのような粗い映像にし、そこにCM制作で培った技術を投入すれば、皆が驚くものがつくれるかもしれない――と、企画のイメージが具体的に浮かびあがってきた。
制作プロセスはCMと変わらないが、間の取り方や映像の切り取り方は、Webの投稿動画を追求した。「CM制作者はプロゆえに決められた時間できちんと映像を見せようとしますが、一般の人が投稿した動画は編集されずに間延びしているのが特徴。そのことを意識して細かく計算しています」。
当初から海外への拡散を見据え、「外国人にもわかる」企画を意識した。その狙いは奏功し、海外Webメディアで紹介されたことをきっかけにSNSで拡散。海外からの逆輸入となり、日本のマスメディアでも話題に。今年のアドフェストではインタラクティブ部門でシルバーを受賞した。このことは地域企業の海外広告賞の受賞は、東京以外の企業やクリエイターでも世界に出ていくチャンスがあることを示してくれた。「広告の出稿量も制作予算も少ない地域企業が認知を上げる施策や自分たちのステージを広げていく機会として、海外広告賞は活用できると感じました。同時に広告というフレームでなくても、コミュニケーションアイデアで解決できることが、地域の企業にもたくさんあるはず。その可能性が少し見えてきたような気がします」。
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01 オートウェイ「【閲覧注意】雪道コワイ」。
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02 最近では、西日本新聞qBiz WebCM「世界最速の新聞配達」を制作。公開1週間でYouTube 20万回再生となった。