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生活者の変化に柔軟に応えられる組織づくりを

セールスフォース・ドットコム×アイ・エム・ジェイ

この1年で、デジタルマーケティングに本気で取り組まなければいけないと、担当者レベルだけでなく、経営レベルで意識の変化が起きている。生活者の情報接点も増え、手法も多数ある中で、改めていま、企業のデジタルマーケティング担当者はどのようなことを課題に感じているのか。セールスフォース・ドットコム 執行役員の笹 俊文氏と、アイ・エム・ジェイ 取締役COOの加藤圭介氏に聞いた。

セールスフォース・ドットコム 執行役員 エリアバイスプレジデント Marketing Cloud 本部 笹 俊文 氏
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アイ・エム・ジェイ 取締役COO 加藤圭介 氏

顧客を起点に柔軟に
発想・判断するCMOが求められる

加藤:最近では経営レベルで本気でデジタルマーケティングに取り組む企業が多数出てきています。

笹:そうですね。特に自動車メーカーや化粧品メーカーなどのBtoBtoC企業が、デジタルでユーザーと直接つながり、自社商品をより良く・楽しく使ってもらい、リピーターになってもらうことをコンセプトに掲げて施策に取り組むケースが増えています。

加藤:2000年代前半までは、ウェブサイトを広報的な役割で活用する企業が多かったのですが、いまや自社メディアとして活用し、顧客との関係値を深める重要な役割を担っています。

笹:デジタルマーケティングの利点は、どのタッチポイントでも同じメッセージを出して同じ顧客体験を提供・実現できることです。しかし、それを実行しようとしても、企業の組織がLINE、SNS、メルマガ、ECなど、チャネルごとに分かれていてうまく回らないことも多い。経営層がデジタルマーケティングを正しく認識していないと、複数のマーケティングチャネルを横断して有効活用するのは難しいと思います。

加藤:たしかに我々がサポートする中でも、組織の壁が課題に挙がるケースは多いですね。やはりマーケティングを統合して推進する人が必要です。

笹:そうですね。いかにCMOを日本に根づかせていくかにつながる話だと思います。既存メディア、デジタル、ECサイトなどすべてを統括する方とお仕事する場合は、目的と得られる成果に合わせて予算などを柔軟に移動させることができます。そうではない場合“どこが予算を出すか”など、実現まで時間がかかり、チャンスを逃してしまうケースもあります。

加藤:生活者の接点の多様化に対してどのような提案を行っていますか。

笹:当社に期待されることの一つとして散見されるのが、自動的にデータを解析してシナリオを作るインフォメーション・アーキテクチャ的なものです。でも、全てを自動化してしまえば、そもそもの“お客さまを知る”というコンセプトから外れてしまいかねません。関連したソリューションはすでに出ていますが、まだ過渡期です。IMJさんのように経験のあるコンサルタントがデータ解析を行ったうえでアクションにつながる手段を考える方が正しいあり方ではないかと思っています。

加藤:やはり人の心に訴えかけて生活者に行動してもらうためにはクリエイティブの力が必要です。分析したデータから、どういう人にどのようなオファーを行えばいいのか、クリエイティブも含めて価値提供することが大切で、それができることが当社の強みだと思っています。

笹:あとは、顧客接点のデータを個人に紐づけて管理できている企業はまだ少ないため、まずデータを最適な状態に整えるお手伝いをすることが多いですね。それができて初めて、さらに詳細な製品の利用ログを紐づける、IoTに取り組む、と進んでいくのだと思います。

スピーディーな対応に求められる組織間の連携

加藤:IMJは広告事業をやってないこともあり、CRM軸でのデータマネジメントプラットフォーム構築・活用の相談を受けることが多いです。とはいえ、いきなり大きな投資をするのは難しいケースが多く、小さな成功体験を作りつつ予算を確保してもらうことに重きを置いています。同時に、経営層にOne to One を実現できた時のイメージを持ってもらい、コミットメントを引き出すことも重要と考えますが、どうでしょうか。

笹:ITの部署の方々の意識改革も重要だと思います。マーケティングソリューションの構築においては常に変化していく顧客体験に合わせるスピード感が必要で、設計は走りながら考えるという状況です。そのあたり、ITの基幹業務に携わる人との意識の差がまだまだ生じてしまっていますね。

加藤:だからこそマーケティング部門とIT部門の連携においては、我々のような外部の人間が、それぞれの専門用語を使わず分かりやすく説明するなど、コミュニケーションの工夫が必要です。

笹:そこで当社は、直接支援するグローバル企業向けに「MC@(エムシーアット)」という常駐型支援を始めました。一般的に、外資系ソリューションベンダーはあまりクライアント企業に常駐しないのですが、MC@でクライアント企業に常駐し、企業内の組織やデータの整備、キャンペーン施策の運用を支援しています。ただ、お客さまのことを一番よく知っているのはクライアント企業ですから、そのサポートであるという役割を忘れずにいることは大切です。

加藤:組織間の連携は内部事情も理解しながら進める必要があるので、常駐型支援が向いていると思います。また、当社は「クリエイティブ」「データ」「マーケティングテクノロジー」これら3つのサービスを、総合的に価値提供するために、今年の4月からこれまでバラバラになっていた組織の融合を進めています。

笹:なるほど。基幹業務系に強いシステムインテグレーターは、デジタルマーケティングを全体的に支援できる人材が非常に少ないので、パートナーであるIMJさんが企業の要望に沿った形でフレキシブルに提案できる体制を整えていることは心強いですね。当社は今年4月からソーシャルの広告にダイレクトにターゲティングできるようになり、facebookとTwitterに加え、この秋にはInstagramにもつながります。当社の分析では、facebookの広告にEメールと同じメッセージが出ると約26%コンバージョンが上がるという結果が出ています。生活者の情報接点と、その時の状況に合わせて適切なメッセージを伝えることの重要性が一層増していくと思います。

加藤:今や、クライアントのビジネス課題を解決するためには「クリエイティブ」「データ」「マーケティングテクノロジー」の三位一体が必須と考えています。

笹:そういう意味でも、IMJさんとのパートナーシップは大切にしたいと思います。我々の目標は、顧客接点の改革をクラウドプラットフォームで実現して、お客さまにイノベーティブなビジネスプロセスを提供することです。まだ準備段階ですが、当社のすべてのクラウドをきっちり連携させて一気通貫で使っていただけるようになれば、唯一無二のベンダーになるでしょう。

加藤:デジタルの力によって、昔ながらの商店のような、顧客一人ひとりを熟知した「おもてなしのサービス」が新しい形で実現できると思っています。

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