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SNS時代 新しい「ブランド」のつくられ方

あえてマーケットインの思考から脱出 技術への驚きが拡散を生んだ「冷やし中華」

樋本達也氏(ニチレイフーズ)

独自の技術で話題を呼び、初年度は200万食以上を販売したニチレイフーズの「冷やし中華」。『氷が解けない』という驚きが定期的にSNSで拡散され、2年目の売上も好調だ。今回の施策の背景について、マーケティング部の樋本達也氏に聞いた。

    DATA

    ニチレイフーズ
    冷やし中華

    発売日:2022年3月1日
    ※2023年分は在庫が無くなり次第、販売終了

    “氷はマイクロ波の影響を受けにくい”という特性を活用し、レンジで加熱した後も冷たく仕上がる新技術を導入した冷凍食品。初年度のパッケージは、あえて中身をそのまま大きく見せるデザインに。2年目からは完成イメージを前面に出すパッケージにリニューアルした。

従来とは異なるSNSを主戦場に「何これ?」の驚きを拡散

冷凍食品の需要拡大が加速したコロナ禍。ニチレイフーズでもこうした変化を受け、2021年11月「パーソナルユース商品」に注力し、2024年度に売上高300億円を目指すことを中期経営計画として定めた。

冷凍食品の購買層は40~50代主婦が中心。同社の戦略では、従来のように性年代でターゲットを定めるのではなく、『テレワーク中のランチ』や『家で一人で簡単に食事をとりたい時』といった、パーソナルユースの具体的な“シーン”がターゲット。この「冷やし中華」も、そうした流れから開発された。

施策はWebが中心だ。若年層へのアプローチも狙っているが、「『電子レンジで加熱しても氷が解けない』という革新性は、テレビCMではなくSNSでこそ拡散できると思った」と樋本氏は話す。

2022年1月の新商品発表会では、イメージキャラクターである芸人のAMEMIYAさんも登壇。持ちネタである「冷やし中華はじめました」の替え歌を披露し、同日からはTwitter上で『先行試食キャンペーン』を実施した。

発売前のコミュニケーションをここまで大々的に実施するのは、同社では初めてだったという。通常、冷やし中華の売上は5月ごろから上昇するが、3月1日の発売日から大きな山をつくった。さらに5月に...

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