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「ウルリス」×にじさんじ 推し活で購買を生むVTuberマーケティング

FinT

最大公約数的なメッセージを、マスメディアを使って発信する時代から、ブランドと親和性の高いコミュニティを選び、狭くても深く刺さるコミュニケーションが重視されるようになっている。では、特定のコミュニティを対象にしたコミュニケーションはどのように実現すればよいのか。VTuberとコラボしたマーケティング施策を提案するFinTが、H2Oのヘアケアブランド「ululis(ウルリス)」の新規層獲得を支援した施策を通じて、その企画プロセスを追う。

(左)FinT マーケティングパートナー事業部 グループマネージャー 熊谷聰威氏
(右)H2O マーケティング部 プロモーショングループ 橋本麻里奈氏

Z世代の熱狂的コミュニティとして急成長 VTuberマーケティング

──VTuberマーケティングの特徴や潮流を教えてください。

熊谷:そもそもVTuberとは「VirtualYouTuber」の略で、2Dや3DのキャラクターアバターでYouTube配信を行っている方たちのことを指します。視聴者の年齢層はZ世代が中心で、熱狂的なコミュニティとして成長しています。

2022年の年末頃からプロモーション案件の活用が増えており、VTuberとの親和性が高いゲームやガジェットにとどまらず化粧品といった領域の事例も増加中です。特にZ世代との接点を持ちたい企業からの相談が増えています。

長時間の動画も離脱しにくく購買までつながりやすい

──「ウルリス」のブランドコンセプトやメイン購買層について教えてください。

橋本:2021年4月にハチミツシャンプー「&honey(アンドハニー)」との共同開発によって誕生したウルリスは、「髪の水分量」に着目し、90%以上を美容液成分で構成したMIZUシャンプーです。メインの購買層は20代女性となります。これまではZ世代の女性に向けてSNSやWeb広告でアプローチしていましたが、新たな獲得チャネルを模索していました。

──他社が進出していないVTuberとのタイアップを提案した狙いは。

熊谷:美容・ヘアケア業界では特に、TwitterやInstagramでのインフルエンサーマーケティングはどのブランドも実施していて、消耗戦の様相を呈しています。他社が進出していない領域やZ世代からの反応が大きいところを考えたとき、VTuberマーケティングはブルー・オーシャンです。競合からのシェア獲得だけでなく、新規層を獲得する動きをしたいというH2Oさんに最適の施策だと考えました。

──「参入が少ない=成功事例も少ない」という中で、勝算はどこにあったのでしょうか。

熊谷:VTuberマーケティングは商品の認知から購買まで一気通貫でアプローチできる強みがあります。一般的なタイアップ動画で15分以上も商品紹介をしたら、ほとんどの視聴者が離脱してしまいます。一方、VTuberのライブ配信は7時間を超えるような配信も非常に多く、PRのライブ配信であっても平均1時間ほどあります。これは長い視聴時間に慣れた視聴者が、エンゲージメントが高い状態で見続けてくれるからです。

また、Z世代は「推し活」の文脈で購買行動が喚起されることが多いです。VTuberはPR案件がまだ多くはないこともありファンが喜ぶ文化があります。「自分の推しを応援したい」という感情から購買への影響力が大変強いです。

さらに、ユーザー間の発話数が多く拡散性が高いことも特徴です。ライブ配信時には数万人が集まってコメントを交わし、VTuberと視聴者間、視聴者間同士での双方向のコミュニケーションがリアルタイムで生まれています。

VTuberはユーザー間の発話数が多く拡散性が高いことも特徴。

1時間の生配信でPRを実施 限定セットは配信10分後に完売

──具体的な施策の内容について教えてください。

熊谷:新商品「ululis kirameki(キラメキ)」のPRとして、大手VTuber事務所であるにじさんじ様の不破湊・椎名唯華・叶さんを起用したタイアップ配信を行いました。ライバー3人のイメージカラーに合わせて、既存ライン2商品も含めた限定セット3種も販売。生配信は約1万8000人の視聴者が集まりました。

企画内容は、最初の約15分間でブランド紹介をしたほか、新商品についてのクイズを実施。新商品の登場感を出す狙いで、不破さん以外には商品情報を伝えず、視聴者とライバーが一体となって「商品を知る」という目的に向かっていく様子を演出しました。また、ダイヤモンドカットの特別感のあるボトルパッケージを訴求するべく、その場で新商品を開封してお披露目。ライブ配信の臨場感を楽しめる企画にしました。

視聴者が満足できる内容を追求しつつも、常に商品の良さが訴求され続ける構成にこだわりました。配信中は画面左上に「#にじウルリスでツイートしてね!」と明示していたことでUGCも創出。「#にじウルリス」は1万7000件ツイートされ、国内のTwitterトレンドにも入りました。

橋本:新商品「ululis kirameki」の限定セット(600セット)は配信中盤で完売。既存2商品「Repair(リペア)」「PINKme(ピンクミー)」の各300セットも配信終了10分後にすべて完売し、大きな手応えを感じました。

生配信中は、ファンの方々がVTuberさんの商品紹介に「頑張れ!」と応援やツッコミのコメントをしつつ、楽しみながら商品を知っていただけていると実感できました。やはり「推しが話している」ことの効果は絶大であると感じました。

VTuber「にじさんじ」とのコラボ配信では、約1万8000人の視聴者が集まった。

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