近年、オンラインビジネスの領域でも企業価値を50%低下させるほど、デジタル広告の不正トラフィック(アドフラウド)による被害やブランド毀損が起きている。不正トラフィックはマーケティングの各施策に影響を与えるもので、広告以外においても対応が急務だ。これらの脅威を排除し、企業の健全なマーケティング活動の実施を支援するイスラエル発・世界的セキュリティ企業であるCHEQの共同創業者兼CEOである、ガイ・ティトゥノビッチ氏(以下ガイ氏)に複雑化・巧妙化・高速化するサイバー攻撃の現状や対策について聞いた。
不正トラフィックのリスクを排除するため世界で1万5000社が活用
世界的にサイバー攻撃による企業の被害は看過できない規模となっている。世界的セキュリティ企業であるCHEQのガイ共同創業者兼CEOは「サイバー攻撃のリスクは、企業がGo-to-Market(GTM、市場進出)戦略を実施する際に最も高まる」と指摘する。
さらに「ブランド毀損のリスクが高い広告面への配信の他、サイバー攻撃による不当な金銭の要求や、企業が保有する各種データ・機密情報の不正取得、業務妨害など、マーケティング活動は常に不正トラフィックによる脅威にさらされている」と続ける。
CHEQは、不正トラフィックからビジネスを保護するため、「Go-to-Market戦略」向けのソリューションを開発。世界中で約1万5000社以上、10万以上のWebサイトに導入されている。
不正トラフィックのトレンドや実態についてガイ氏は、①意図的なカゴ落ちによって損失を与える②偽のトラフィックによる広告やキャンペーンへのクリックでマーケティング予算を浪費させる③ビジネスに悪影響を与えるために偽アカウントにより、分析結果に歪みを与え、誤った意思決定に誘導させるなどを挙げる。「マーケティングチームは新規リードを獲得するための貴重なリソースを気付かぬうちに偽ユーザに浪費している恐れがあるのです」と指摘する。
CHEQは、2016年にイスラエルで設立された。「高度なAI自動制御技術を用いたGTMセキュリティのパイオニアとして企業のデジタルビジネスを保護してきたことで、当社は世界的なサイバーセキュリティ企業として認められてきました」とガイ氏は語る。
CHEQのソリューションは、全ての業種・業界の全てのITサービスが保護の対象だ。「近年ではChatGPTなどAI技術が進化し、広く活用されるようになりました。専門的な知識がなくても容易にボットが作れることで、ボットの数や実行できることが拡大しています。歌手のテイラー・スウィフトのチケット完売騒動も米国企業チケットマスターのサイトがボットの攻撃を受けた事例です。チケットマスターの企業価値は約50%低下したとも言われています」(ガイ氏)。
ガイ氏は日本企業もこうした損害を受ける可能性は十分にあり、同社が問い合わせを受けている企業の殆どで不正もしくは疑わしいトラフィックが検出されていると指摘。「ボットの機能向上により、海外のクラッカー※にとって日本語のコンテンツを作成することは今まで以上に容易になっています。ボットや偽トラフィックにより、何百万ドルもの予算を浪費している場合もあります。一方、日本企業はグローバルと比較した場合、サイバーセキュリティに対する意識は高いとは言えません」(ガイ氏)。
ガイ氏は「無駄なマーケティング予算を削減し、予算配分を最適化することで、施策展開の幅を広げ、商機を拡大することもできます。被害を受けていることに気づいていないケースもあるので、まずは自社がどれくらい脅威に晒されているかを診断できるサービスなどの利用からでも検討してほしいです」と話した。
チェク・ジャパン株式会社
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