キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、ブックオフグループホールディングスおよびブックオフコーポレーションでマーケティング執行役員を務める柘野英樹さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
Q. これまでのキャリアについて教えてください。
キャリアのスタートは決して順風満帆とはいえないものでした。新卒では広告業界を志望したものの、数十社受けた広告会社は惨敗。振り返ると、業界研究も企業研究も足りていなかったと感じています。卒業の2カ月ほど前に、ようやく東北新社への入社が決まりました。
入社後はCM制作のプロダクションマネージャーを担当。しかし、私は広告のプランニングから携わりたいという思いが強く、業務との間にギャップを感じるように。そこで広告会社を受け直すことを決意し、ご縁をいただいたADKインターナショナルに入社しました。媒体部を経て営業部に移り、トップクライアントを担当する経験を得ました。充実した日々を過ごしていましたが、今度は事業会社側でマーケティングに携わりたいという気持ちが強くなりました。売上の数字や責任を背負ってみたいと思ったのです。
そこで転職したのがアディダスジャパン。カジュアル衣料のPR担当を経て、PR・広告全体の計画を統括するブランドマーケティングという花形部署に配属になります。
しかし、私が考案したコミュニケーションプランは営業に納得してもらえないことも多く⋯⋯。店頭での商品の動きを理解できていないことに気付き、志願してリテールマーケティング部に異動。いくつかの施策を担当し、お客さまの反応がダイレクトにわかるリテールマーケティングの面白さを知るうちに、もっと突き詰めたいという思いが強くなりました。そこで転職したのがスターバックス コーヒー ジャパン。決断の理由は広告に頼らないマーケティング戦略に興味を持ったことでした。
最初はプロモーションチームに所属し、年間計画の設計を担当。そして、当時のCMOから「マーケターとしてさらに成長したいなら、プロダクトマーケティングを経験するべき」との助言を受け、商品別にマーケティングを行う部署に異動し、ドリップコーヒーとコーヒー豆のマーケティングに従事しました。商品の特徴や流通背景、ブランドストーリーを理解したうえで販売戦略を考える視点を養えたことは、今でも大きな財産となっています。
この経験から、これまで培ってきた知識を生かしてブランドのマーケティング全体を組み立てたいと考えるように。その中でデンマークの雑貨店「フライングタイガー コペンハーゲン」を運営するZebra Japanに入社。マーケティング部長として部署の立ち上げから携わりました。
同社でデンマークの価値観に触れたことは、私の大きなターニングポイントになりました。デンマークでは、「人とのつながりを持つことこそが幸せで豊かなこと」と考えるのですが、それを知るまで私は、幸せをもたらすのは物質的な豊かさだという考えが強くて。幸せの基準が他者との関わりにあるという考えは衝撃でしたね。
この文化に影響を受け、ファンとのつながりを大切にしたいと「部活」と名付けたファンコミュニティを立ち上げました。参加者にも喜ばれ、ファンの自発的な情報発信から新規顧客の購買に結びつけるという消費モデルを軌道に乗せられました。
Q. ブックオフに転職した理由を教えてください。
入社を決めた理由は、当社代表取締役の堀内との出会いでした。私は個人的に行政・住民・民間企業が一緒に街づくりについて考えるプロジェクトに参加しており、地域コミュニティ活性化に大変興味を持ち始めていました。堀内の、ブックオフをモノの循環と人のつながりのハブにして地域コミュニティに貢献したいという構想に感銘を受け、自分も挑戦したいと思ったのです。
2020年1月にマーケティングコミュニケーション部門の責任者として入社し、本社で全国801店舗のマーケティング活動全般を統括しています。現在は、「オンラインと店舗」「買取と販売」など当社のあらゆるサービスを分断なくお客さまに提供できる環境を整備しているところです。近い将来、店舗での顧客体験の満足度向上に取り組みたいと考えています。
商品をできるかぎり早く、良いコンディションで売り場に並べる仕組みと意識はすでに徹底しています。扱う商品の幅が広がり、単にものを安く買えるだけの場所ではなくなった今、来店したいと思ってもらう体験を生み出すには、マーケティングにも発想の転換が求められているのかもしれません。
Q. 若手マーケターへのメッセージをお願いします。
これまでのキャリアで指針としてきたのは、後退しないこと。何かひとつそのとき自分が信じるものへと前進していれば、到達点は次第にクリアになってくるはずです。私も最初から到達点が見えていたわけではありません。
コロナ禍では待ったなしでの変革を迫られていますが、裏を返せばこの状況は、既成概念に捉われない発想で行動しやすく、さまざまなチャンスが転がっているともいえます。時代を動かす醍醐味を味わえる今、皆さんと刺激し合いながら新しい世界を一緒につくっていけることを期待しています。
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