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CRMで優れた顧客体験を実現 HubSpotの「インバウンド」思想に迫る

HubSpot Japan

「Help millions of organizations grow better」をミッションに掲げ、マーケティングの世界に「インバウンド」という新しい思想を持ち込んだHubSpot。この思想を実践に落とし込むためのCRMを軸にマーケティング、営業、カスタマーサポート支援プラットフォームを提供。現在、世界120カ国以上で10万社以上に導入される同社の思想に迫る。

HubSpotアメリカ本社オフィスの様子。オフィスには“Customer Success”など、同社が大切にしているビジョンが所々に掲げられている。

顧客から価値を受け取る前に まずは売り手が価値を提供する

マサチューセッツ工科大学の大学院で同期だったブライアン・ハリガンとダーメッシュ・シャアが2006年に設立したHubSpot。会社設立の背景にあったのはインターネットの登場以降、急速に変わり始めた消費者の購買行動だった。企業(売り手)と買い手に、これまでのマーケティングの延長線ではない新しい関係性が必要とされている。そうした同社の思想を象徴するのが、顧客を追いかけまわすのではなく、相手から価値を受け取る前にまずは売り手が価値を提供する「インバウンド」の概念だ。

ブライアン・ハリガンが共著者として参加をした『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(2011年刊)は、糸井重里氏が監修に入り、日本でも話題となった。世界的な成功を収めたロックバンドから顧客とのつながり方やマーケティング活動の着想を得る、このユニークな発想にも同社独自のマーケティングに対する考え方が見えてくる。

2016年には日本に進出、HubSpot Japanが設立されたが、その事業展開は「統合型CRMプラットフォーム」というツールの提供にとどまらない。ツールの背後にある同社の思想こそが、最大の価値を持った“製品”なのだ。

HubSpot Japan共同事業責任者の伊佐裕也氏は「私たちは『Help millions of organizations grow better』というミッションを掲げています。売り手と買い手、さらにそこで働く人たちのすべてが利益を享受しながら、持続可能な形で成長をしていく。そうした世界を実現することが私たちの企業としての使命なのです」と語る。

伊佐氏はHubSpot参画前もBtoBソリューションのマーケティングに携わっていた。

「バックオフィス支援のクラウド型ツールを提供するfreeeに在籍していたときは、ユーザーを深く理解し、自社サービスの紹介に留まらない多様な情報提供を通じてユーザーの課題解決に貢献する顧客視点のマーケティングを『マジ価値マーケティング』と定義し、実践しようとしていました。このようにいちマーケターとして目指していたマーケティングのあり方をHubSpotが体系化し、体現してくれていた。この思想を広める側で仕事をしたいと考えたのが入社のきっかけです」と話す。

カスタマーサクセス&サービスマネージャーの豊倉濃氏も、インバウンドの思想に共鳴し、HubSpotに参画したひとりだ。豊倉氏は2016年からHubSpot Singaporeに在籍して日本のユーザーのカスタマーサービスに従事しているが、「進出当時は現在提供する製品群の中でも『Marketing Hub』を導入される企業が多かったため、マーケターのためのツールという印象を与えていたと思います。しかし最近は、HubSpotに興味を持っていただく入り口が格段に増えました」と話す。

CRMがあらゆる部門をつなぎ 摩擦のない顧客体験を実現する

同社が提供する統合型CRMプラットフォームの核となるのが100万件までの顧客データを無料で利用可能なHubSpot CRM。このCRMを基軸にマーケティング、さらにセールス、カスタマーサービス、CMSの機能を内包する。

「実はHubSpotが提供するツールでも、最も機能に自信があるのがHubSpot CRMです。そのCRMを一部機能に制約はあるものの、無期限で無料提供するところに当社のインバウンドの思想が現れていると思います」と伊佐氏は語る。提供する機能の拡張に伴い、当初は「スモールビジネスに強いHubSpot」との評価を得ていたが、昨今は導入企業の規模も多様に広がっているという。

なぜ、HubSpotはCRMを無料で提供するのか。そこにはインバウンドの思想があると同時に、同社が考える「Grow Better」の世界観を実現するハブになるとの考えがあってのことだ。「私はよく『優れた顧客体験とはどのような体験か?』と聞かれるのですが、その問いに対して『あらゆる面で顧客にとっての摩擦が少ないこと』と答えています。CRMが中心にあることでマーケティング、セールス、カスタマーサポートなど顧客に接するすべての部門のメンバーが、同じデータを確認しながら顧客に向き合うことができるのです」(伊佐氏)。

HubSpotの摩擦をなくす取り組みは、すべて自社開発のツールで構築されるソリューション群にも象徴されている。伊佐氏は「当社は他社のツールを買収してソリューション群を拡張していくアプローチは取りません。つなぎ合わせることで、機能間に摩擦が生まれ、顧客体験に影響を与えかねないからです」と話す。

豊倉氏も自社開発のメリットについて「統一的なUIで様々な部門が顧客データに接することの意義は大きい。同じ顧客のデータでも異なるUIを通じて見ると、認識のすり合わせが必要になります。HubSpotを導入して、他部門とのコミュニケーションがとりやすくなったとの声を多く聞きます」と続けた。

「相手から価値を受け取る前にまずは売り手が価値を提供する」。HubSpot流のインバウンドの思想は、導入後の顧客にも向けられる。具体的にはツールを導入し、組織に成果をもたらすための多様な情報提供、サポートを行っているのだ。

「ツールを導入しただけで、成果が出るわけではない。お客さまに成功してもらうためには、お客さま自身にも行動してもらわなければなりません」と豊倉氏は話す。ここにも「Grow Better」の理念が体現されており、この過程を通じて顧客はツールの使い方だけでなくインバウンドの考え方に基づいたマーケティングや営業、カスタマーサービスを体得していくのだ。

HubSpot Japanが、2020年12月に日本企業の営業活動の実態を明らかにするために行った調査では「売り手より買い手の方がリモート営業を好む」と明らかになったという。「コロナ禍を受け、ますます買い手とのコミュニケーションのあり方は変わってきています。その環境において、売り手も買い手も働き手もすべての人に心地よく、さらに成長できる世界観をつくっていきたいです」と伊佐氏は展望を語った。

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