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「昆虫食」から「サーキュラーフード」へ価値転換 徳島大学発スタートアップが始めるD2C

フラクタ

徳島大学の基礎研究をベースに、コオロギとテクノロジーを組み合わせ、世界的なタンパク質不足やフードロスなど社会課題の解決に挑むフードテックベンチャー、グリラス。技術力に強みがある企業ほど、ブランディングやマーケティングにあまり意識が向かないことも多いなか、グリラスはコミュニケーションを成長戦略の要に位置付ける。その理由とは何か。グリラスと、同社の“自走”を支援するフラクタのプランナー、アートディレクターに話を聞いた。

左からフラクタ プランナー・山下 友氏、同ディレクター・土井千明氏、グリラス 代表取締役 Founder & CEO・渡邉 崇人氏、同Branding & Marketing Director・一色 範彦氏、フラクタ アートディレクター・楳村 秀冬氏

サーキュラーフードの先にある世界・未来を共創していきたい

──革新的なコオロギの自動飼育システムを確立したグリラスは、なぜコミュニケーションを重視し、会社全体のブランド構築に取り組んだのでしょうか。

渡邉:当社は、コオロギを新たなタンパク源として社会に浸透させていくことを目指すスタートアップです。安心・安全な食用コオロギを、循環型食品『サーキュラーフード』として社会実装する目的で、グリラスという会社を設立しました。ただ、コオロギに対する世間のイメージや、「昆虫食」という言葉の持つイメージに課題を抱いていました。特に「昆虫食」はすでに古くからある日本の地方文化、といったイメージを持たれているようで、特にその傾向は50~60代の方で顕著です。

──社会実装に際して、過去のイメージがハードルになっていたのですね。

渡邉:私たちが掲げるビジョンや技術力に関心をもって、話を聞きにきてくださる企業は多い。途中まで商談も順調に進むのですが、上層部に話が及ぶと、ストップしてしまうケースの連続でした。おそらく「昆虫食」に古いイメージを持つ世代の方たちの理解を得られていないからだと考えています。

一色:食用コオロギは、2021年のヒット商品として注目を集めているものの、まだ広く世の中に受け入れられているわけではありません。社会に浸透するには、それなりの時間がかかるでしょう。

とはいえ、私たちのようなスタートアップは、資金調達をしながらスピーディーに事業成長していく必要があるので、悠長に構えていられないところがあります。こうした背景が、私たちがブランディングに注力すべきと考えた理由です。理屈ではなく、感性に働きかけて『サーキュラーフードを食べたい』と皆さんに思ってもらえる仕掛けをつくる必要があります。

土井:フラクタは「ブランディングで世界を豊かに」をビジョンに掲げています。コオロギで世界を変えたいというグリラスさんの熱い思いに触れ、また実際に商品の試食もさせていただく中で、私自身もコオロギに対する見方が大きく変わりました。こうした社会に対する意義の深い仕事をご一緒させていただくのは光栄なことです。

──具体的に、どのような取り組みをされてきたのでしょう。

一色:フラクタさんへのオーダーは、非常に全方位的なものでした。ブランド構築ではビジョン、ミッションの策定に始まり、ロゴ、コーポレートサイトの制作まで。はたまたEコマースの話もあれば、SNSを使ったマーケティング、リサーチや商品企画の話もありました。私たちはスタートアップなので、個々の施策に多くの投資ができるわけではありません。すべての施策を一緒に実行してくれる、筋肉質なワンチームをつくれるかが、パートナー選びのポイント。

一方で、丸投げ文化を社内につくりたくなかったので、フラクタさんをパートナーに選んで正解でした。ワンチームとして熱量をもってプロジェクトに参加をしていただいていますが、クライアント側が自走できるような支援をしてくれるからです。

山下:ブランドの自走、伴走、共創は、フラクタが日頃から重要視していることです。そういう意味では、グリラスさんとは理想的なチームが組めているように思います。グリラスというブランドはどうあるべきか?という本質部分からディスカッションを重ね、最適な答えを一緒になって導きだしてきた実感があります。

一色:デザイン面はもちろんですが、私たちのビジョンやミッション、アイデンティティの原案を、フラクタさんと一緒にブラッシュアップできたことは大きな成果でした。グリラスの考えや思いが言語化されることで、社内外の関係者と意思統一を図る基盤ができました。

楳村:お話を伺う中で見えてきたのは、コオロギはあくまでデバイスであり、ひとつのツールなのだということ。グリラスさんは、その先にある調和のとれた世界・未来の実現を目指していらっしゃる。ですから、デザインに関しても、サーキュラーフードの先にある世界観を表現するよう努めています。

サーキュラーフードは社会的意義が大きいが「それっていいよね」「すてきだよね」「幸せだよね」というフワッとした感情づくりはデザインが担う領域。そうした考えからサイトでは理屈ではなく、感性に働きかける仕掛けを意識した。

──今後はD2Cビジネスにも挑戦するそうですね。

渡邉:今までは、食品原料としてコオロギのパウダーをメーカーやレストランに卸していました。けれども、そのやり方だけでは、彼らがどう売るかが食用コオロギのイメージをつくってしまい、本来の私たちが伝えたい世界観が伝わらない可能性があります。極端な話、彼らがパーティーグッズとして売れば、パーティーグッズになってしまう。それでは私たちが望む世界はつくれません。

そこで私たちが直接、商品を販売できるチャネルを持つことにしたのです。D2Cはある意味で広告やプロモーションにもなるし、生活者とのコミュニケーションツールにもなり得ます。

山下:今まさにECサイトを構築しているところです。フラクタはEコマースをルーツにしていますが、プロダクト開発やパッケージ開発にも対応しているので、D2Cの立ち上げにも携わることが増えています。ECサイトに限らず、今後もグリラスさんと共創しながら、サーキュラーフードの浸透を後押しするようなブランディングや体験設計をお手伝いしていきたいです。

一色:ここ3カ月くらいは、ブランドの誕生というフェーズでしたが、これからはブランドの育成フェーズに入っていきます。クリエイティブによるメッセージ力の強化が、ECサイトであれ、コーポレートサイトであれ、今後ますます必要になってくるはずです。そういう意味では、これまでフラクタさんと一緒にやってきた取り組みが、成果としてこれから徐々に出てくると思うので楽しみです。

※ 本記事の内容は2021年3月取材時点のものです。

    問い合わせ先

    フラクタ
    〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町22-14 N.E.SビルN5F/S5F
    MAIL:contact_jp@fracta.co.jp
    URL:https://fracta.co.jp/contact/
    TEL:03-4530-3788

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