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宣伝会議賞

議論が白熱した最終審査会 審査員に聞く「宣伝会議賞」講評

3月12日、都内にて最終審査会が開催され、グランプリをはじめとする各賞が決定しました。例年以上に、議論が白熱した最終審査会。審査を担当した審査員の皆さんに、第58回「宣伝会議賞」の講評を聞きます。

    審査員長
    ナカハタ
    仲畑貴志

    審査委員の尺度の多様化故か、今年も票が割れました。投票を進めるたびに順位が変わったりもする。さらに、審査員数が14人と偶数であったことから、同数決戦となり、審査の最初に行われるグランプリ決定だけで1時間以上を費やすということになりました。でも、その結果、全員が意見を述べ合うなど、異論の検証を丁寧に行うことが出来て良かったと思います。

    宣伝会議賞は、もう少しで62万に届くという、莫大な参加数の中からの選択です。ファイナリストは、それ自体が入選に値します。今回、賞を逃しても、どうぞ自信を持ってください。また、第1次審査を通過点するだけでも大変なことです。なにしろ、61万7203(応募総数)分の6134ですから。参加をすれば、グランプリの可能性がある。次回も、どうぞいい作品をお寄せください。

    一倉広告制作所
    一倉 宏

    グランプリの決定では、このコピー表現ははたして万人に伝わるかについて議論になった。私は、これは一種のソフィスティケーションだと思う。単刀直入型のコピーにはない、その深度を評価したい。悩みといいながらポジティブに向かう、話の姿勢もいい。眞木準賞はそれとは対照的で、眞木コピーの洗練とは違うところが気になりつつも、商品に直結するコピーの強さ、という一点で、この賞に値すると最終的に判断した。コピーゴールド、CMゴールドも、その他の入賞作も、アイデアと表現の強度で勝ち抜いたといえると思う。

    コロナ禍の状況は、明に暗に選考にも影響するはずで、だからこそ、なるべく読後感のよい、人柄のよいコピーを応援したい、というのが個人的な思いだった。

    電通
    磯島拓矢

    応募者の皆様、お疲れ様でした。最終審査には、クレディセゾンのコピー・企画が多く残っていました。「クレジットカード」ではなく「キャッシュレス社会」となっただけで、一気にコピーが生き生きとしてくる。広告というのは、やはり社会を映す鏡だなあと改めて思います。

    JTの「たばこは位置についてから。」というコピーは、言うまでもなく「たばこは20歳になってから。」のもじりですが、もじりコピーだからこそ、実は新たな標語になりやすいんじゃないか、もじり・ダジャレコピーの新しい在り方なんじゃないか、と思い積極的に票を入れました。自分は何を推すか。それを考えることは、自身の(大仰な言い方をすれば)広告観を見つめ直すことでもあります。貴重な機会をありがとうございました。

    Tang
    尾形真理子

    宣伝会議賞の審査をさせていただくと「コピーって楽しいんだよな」と思い出させてくれる数多くのコピーに出会えます。いいなぁ、おもしろいなぁ、やられたなぁ。その裏には、考えた人の下心が必ずあります。ドキッとさせたい、クスッとさせたい、あたらしい価値をみつけたい、そういう下心を上手に隠されると、つい口説かれてしまう。その気持ち良さこそ、コピーに出会えた楽しさである気がします。

    その一方で、広告に向けられる目も、かつてないほど厳しいものになっています。そのおもしろさは、なにかを踏みつけた先に成立するものではないか?その中で、クレディセゾンの「えっ、今回の手術費用もポイントつくんですか。」は、対象を「手術費用」にしたのが際どくも秀逸だと思いました。身体も精神もお財布もキツい術後の人にとっては、ポイントは「ご褒美」という価値にも引き上げられる。キャッシュレスへの抵抗が強いシニア層をターゲットの中心に据えて、リアリティがありました。

    おもしろければ良いわけじゃない。それは断じて、つまらなくて良いということではない。自分が設定するハードルを一段上げることが、これからは大切だと痛感した審査でもありました。

    フリーランス
    国井美果

    60万点以上の応募の中から最終審査に残るのは想像を絶する快挙。だからどれも甲乙つけがたい中での、接戦でした。グランプリの「なかなか見どころのある悩みをお持ちですね。」は、コロナ禍で心細さしかないであろう人々に寄り添う優しさ、軽やかな明るさを感じて、ほのかな希望へつながる今年ならではの1本だったと思います。

    個人賞(勝手にw)としては「駐輪禁止とかかずに、花壇を置いた。」「9時から12時の間に、待ち合わせよう。そんな約束は普通しない。」「えっ、今回の手術費用もポイントがつくんですか。」「ラジオCM怖い話篇」などなど…。過去と比べてみればわかる、どうしたってこの時代が薫る、そんな気づきの言葉の数々が鮮やかでした。

    児島令子事務所
    児島令子

    商工中金の「見どころのある悩み」って視点いいなあ。悩みは可能性であるという発見。最初に見たときから私のグランプリ候補でした。でも、クレディセゾンの「コロナウイルスお預かりします。お返しします」の会話も上手いなあ。淡々とした日常のやりとりの中の日常の危険。刺さります。いやいや...

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